7色の後ろ側《赤》 (ページ6)

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後ろのシートページ6

side 小瀧

ああ、どないしよ。
もう家を出なきゃ仕事間に合わへん。

でも迎えにくるはずのマネージャーの愛梨は迎えにこぉへんし、連絡すらつかへん。

電車は遅延で止まっとる。
タクシーも電車の遅延のせいで回線混み合っとるし。

これ完全に積みやん。

望「あ、とりま美和さんに連絡せんと....」

美和さんはWESTのマネージャー。
というか、俺らがデビューする前から俺らのマネージメントをやってくれとった。

WESTもありがたいことに前に比べたら個人の仕事が増えて。
流石に7人全員を1人でっていうのは厳しなって、もう1人新しくマネージャーとしてきたのが愛梨やった。

今日は他メンバーを美和さんが拾って、俺んことを愛梨が拾ってスタジオで雑誌の撮影。

美『....はい、望今どの辺？
愛梨に連絡してるんだけど、全然繋がらなくて。
もう2人でこっち向かってるんだよね？』

望「......」

美『望？聞こえてる？』

望「愛梨まだ来てへんねん」

美『は？』

望「愛梨まだ迎えに来てへんねんて。
なぁ何かあったんかな？大丈夫やんな？」

仕事の事ばっか考えてしもたけど、愛梨が時間通りに迎えに来ないとか、何かしらの事件に巻き込まれた可能性やってあるやん。

え、めっちゃ怖なってきた。

美『....とりあえず、望はスタジオ向かってもらわないと困るから、そっちにタクシー寄越すからもう少し自宅待機してて』

美和さんはそれだけ言うと電話を切ってもーた。

望「はー...ほんま、どないしよ」

愛梨にもう一度電話を繋いだけどやっぱり繋がらへん。

ちょっとしたらLINEが届いた。
愛梨かと思ったけど美和さんから。

美『タクシーはすぐに迎えにいける所が無いから、別の車を用意しました。◯◯-◯◯ってナンバーの車がすぐ駐車場に来ると思うからそれに乗って向かってください。』

事務所の車ではなさそうやから、美和さんがうまいこと用意してくれたんやな。
とりあえず駐車場で待機しとかな。

しばらくすると一台のベージュ色した軽自動車が駐車場にきた。
普段は見かけへん車や。

そしてナンバーは◯◯-◯◯。

美和さん言うたんこれ？まじで？

運転席側のフロントガラスを軽くノックする。
中の女の人がびくっと肩を揺らした。

望「美和さんが呼んだ方ですか？」

窓を半分くらい下ろしてこちらを覗き込んでくる。

望「ほんま急な事ですんません。
とりあえず乗せてもらっていいですか？
いやほんまに助かります、すんません。」