7色の後ろ側《赤》 (ページ34)

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車内② ページ34

side 小瀧

帰りの車、ちゃんとAさんと話したくて隣に乗るよう促した。
拒否られたらどうしようかと思ったけど、隣座ってくれたし、割とフランクに話してくれてとる。

名前呼びも了承してくれたし、よかったわ。

てかずっと背ちっさいなーと思っててんけど、152て！
小学生くらいちゃう？

望「服とかも、全然大人っぽい感じちゃうしな？」

「元々の趣味もですけど、前の仕事が私服勤務だったのでこういう服ばっか増えちゃって」

望「え、この格好で働いてたん？」

「ですね。これにエプロンです」

望「ええなぁ、いかにも花屋さんって感じやん」

「いかにも花屋でしたから」

望「働いてた時の写メとかないん？」

えー...と悩んだ後、職場のブログにならあるかもしれないですとスマホをいじるA。
うわ、手もちっさいなぁ。

「あ、ありました。」

そう言って差し出されたスマホに写っているのはお団子頭に白Tでオーバーオールを着てるA。
大きなひまわりの花束を抱えて微笑んでいる。

望「うっわ、何これ、かわええやん！」

「ひまわりかわいいですよね、彼女にプレゼントしたいって方がいて、作ったんです。
ここまで大きいの珍しいので、写メ撮っとこって」

かわいいを自分の事と思わんあたりが、Aっぽい。

望「ちょ、この写メ欲しい」

「は？嫌ですよ」

そう言ってスマホは奪われたけど、ばっちり店の名前確認しといてん。後でググったろ。

代「最初、この辺りであってますかー」

望「あ、そこの電柱越えたところ左でお願いしますぅ」

いつの間にか俺の家のすぐ近くまできてた。
最初と同じように駐車場へ入ってもらい、車を降りる。

望「ほんなら、お疲れ様でした」

「遅くまでお疲れ様でした。明日はゆっくり休んでくださいね。
あ、あとおしぼり。ありがとございました」

最後にそういうの言ってくるん、ずるいなぁ。
ちょっとほんま、かわええと思ってまう。

あ、ええもんあるの思い出した。

望「運転手さんちょっとだけ待てます？5分もしないんで！すんません！！」

急いでエレベーターに乗り込み自宅へ。
あるものを近くの紙袋に放り込み、また駐車場へ向かう。

「A明日も暇やろ？せやったらこれ見とき。
運転手さんお待たせしました、行ってください
」

そう言って紙袋をAに押し付けて車を見送った。
Aはいきなりの事で驚いてて、そのまま車は遠ざかってく。

A喜んでくれるとええなー。