7色の後ろ側《赤》 (ページ29)

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説得① ページ29

side 美和

「...は？」

重岡アイツ勝手に言いやがった。

Aはきょとんと重岡を見てる。
まぁ何言ってるか意味わからないよね。

美「あー、重岡の言ってる事本気で考えて欲しいんだけど、どう？」

淳「美和はAちゃんにお願いしたいと思ってん。
俺らはそんなAちゃんの事知らんけど、美和の事信用してんねん。なら、お願いしてみよっかってな」

Aはお箸を置くと座り直して、姿勢を正した。
ちゃんと聞くべき話だと判断してくれたんだな。

美「もちろん、ここで言ってはい決定て訳にはいかないから、面接とかもあるんだけど。
Aがやってくれるなら上に話はつけるから」

「えっと...。まず、美和は知ってるだろうけど、私元花屋で、社会人経験はそこでしかないの」

花屋というワードにちょっとWESTがざわつく。
こら重岡、Aをガン見するのやめろ。

「全然別業界だよ。その、芸能界？も正直興味ないし、業界ルールみたいなものもわからない。
そんな人が軽い気持ちで始めて務まる仕事じゃないでしょ？」

「愛梨さんの件を教えてもらって、美和がとても大変なのはわかるけど、私が仕事面で手伝える事なんてないよ...」

やっぱりAは否定的だ。

藤「興味ない方が、理想も偏見もないからやりやすいってのはあると思うで？
前の仕事も別に関係ないしな。
全然違う業界からこっち方面くる人はたくさんおるし」

意外な事にはじめに口を開いたのは藤井だった。

重「自分今ニートなんやろ？何も問題ないやん。
美和さんを手助けしたくて、俺らにちょっとでも興味持ってんならやってみろって」

「....」

こういう時の重岡の言葉はなぜだか説得力がある。
それにあの目。Aがちょっと押されてるのがわかる。

神山が戻ってきて、場の空気を読んで空いていた濱田の隣に座った。