虎次郎Side ページ12
なんか誰かに声かけられたような気がしたけど、今の俺にとってそれは重要なことじゃなかった。
考えれば考えるほど…
分からなくなっていく。
確かに、俺が婚約していた相手は唯さん。
今さっきまでここにいた俺たちより幼く見えるあの子も唯さん。
でも、俺が顔合わせで何度か会ったことのある婚約者の顔を忘れるだろうか？
俺が顔合わせで会った人は、自分よりも年下と聞いていたのに自分と同じ年もしくは少し上に見える…
そんな人物だった。
髪型が変わってたし、そのせいで違う人に見えたのかもしれない。
でも、なぜだかあの子と顔を合わせた時、直感でこの人とは会ったことがないって思った。
あの子も、俺と目が合っても気付きもしない。
やっぱり、あの子はあの日俺が会った唯さんではないのかも…
そう考えていくうちに、遠くのほうが騒がしくなってきた。
廊下からこちらに誰かが歩いてくる。
出て行ったのは2人だったはずなのに…
なんだか、2人にしちゃ騒がしい。
？？「来音ぉ！何してんねん…」
？？「まぁ、来音くんらしくていいじゃないですか。」
来音「おぉ！怜生！元気してるか？」
怜生「まぁ、、、」
唯「この二人のやり取り、マジでおもろい(笑)」
「「「「はははははっ(笑)」」」」
来音って人が怜生って言うのが聞こえたから、きっと副会長の藤守怜生さんも一緒にいるんだろう。
それよりも、俺が気になったのはその一個前に聞こえた、女の人の声。
あの声…
聞き覚えがある。
一体どこで聞いたのか？
きっと、今扉の前にいるその人が、俺があの日会った唯さんだ。
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