検索窓
今日:11 hit、昨日:20 hit、合計:84,684 hit

第四十四話 「彼と彼女の出会い」 ページ45





彼女との出会いは、私が10を過ぎた頃だった。




____________





「あれ、父上.....?
はぐれてしまったのかな。」




ガヤガヤと賑わう町中で
私は父と買い物に来ていた。



長い間仕事で家を開けていた父上は、
母にお説教をくらい、罰として今日の晩ご飯の買い出しを頼まれたのだ。

私はその付き添いだった。




今日は定期市だから人が多い....そんな事を思っていると、
案の定父とはぐれてしまった。





「困ったなぁ.....」




こんな中で父上を探すためにうろちょろしても、かえって入れ違いになりそうだし...
ここは大人しく待っていよう。




そう思った私は目に入りやすいよう手前の店まで歩き出そうとしたその時だった。





ドン!




「っ!」




何かにぶつかった衝撃で、私は思わず尻もちをつく。




....?さっきまで目の前には何もなかったのに....




一体何とぶつかったのかと顔を上げると、そこに居たのは機嫌の悪そうな表情をした豪族だった。





「おい小僧。
お前どこ見てほっつき歩いてやがる。」

「....も、申し訳ございません!」




"豪族"と言うだけあって醸し出されるその気迫に、私は思わず頭を下げる。



だけどこの豪族...私にわざとぶつかって来たな?
イライラしているのか知らないが、私に当たりに来るのは違うだろ...




ため息を吐きたいのを我慢していると、豪族はそれを察したのかさらに不機嫌な表情を浮かべた。




「なんだ?その不服そうな顔は。
小僧のくせに調子に乗りおって!」


「!?」




こいつ...!子供相手に剣を抜くのか!?




刃をギラリと光らせて嘲笑うような顔を浮かべる豪族。
町中の人たちはそれを見て、なんだなんだと集まり出した。




騒ぎになってる。
これは後で父上に叱られるな....




「(まぁどうせ権力を町中の人間に見せびらかしたいだけだろう...)」




そう思って侮っていたけれど、
男が剣を振りかざす姿に、思わず体が固まる。





男の目から殺気を感じる....

まさか、本気で私を殺そうとしているのか....!?





父との稽古で何度も殺気を感じていたのに、
他人から初めて向けられる殺気に体が動かなかった。





「私にそのような態度を取った事、今にも後悔させてやる!」

「っ!!」





剣を振り下ろす音が聞こえ、もうダメだと思ったその時。


カキン!と鉄と鉄がぶつかる音がした。









『........その辺にしておきませんか。』



第四十五話 「少女」→←第四十三話 「必ず守る」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (60 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
159人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

春の黒猫(プロフ) - 依利さん» コメントありがとうございます!すごく励みになります...頑張ります^ ^ (2020年10月12日 21時) (レス) id: aee551e7f9 (このIDを非表示/違反報告)
依利 - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年10月11日 21時) (レス) id: ed636e8d4e (このIDを非表示/違反報告)
春の黒猫(プロフ) - 菜々さん» コメントありがとうございます。読者様が苗字を設定しない場合、元々の主人公の苗字を設定しておいて欲しいとの事でしょうか...?一応この小説は苗字と名前の設定が可能になっておりまして、あえて苗字を設定していないのですが...(・・;) (2020年10月9日 16時) (レス) id: aee551e7f9 (このIDを非表示/違反報告)
菜々 - こんにちは読みたい所ですが設定のとこ少し直した方思います参考なったら嬉しいです例えば→夢崎(名前)。こんな感じです読みづらくすみません (2020年10月8日 16時) (レス) id: ea6e979d26 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:春の黒猫 | 作成日時:2020年9月22日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。