第四話 「火薬の匂い」 ページ5
彼女たちの気配が無くなると共に、私はその反対方向へ歩き出す。
これでやっと一息つける...
空を見上げると先程見た夕焼けの赤い空は何処にもなく、あるのは点々とした星空だけだった。
『っぁ....!っつぅ...』
ほんっとに容赦ないんだから...苦無がかすっただけなのに、こんなに身が裂けるなんて...
歩いて行くにつれ段々と意識が遠のいて行くのに気づき、歩幅も狭くなってきていた。
出血量が多すぎる...すぐに片付けるつもりだったのに...油断したなぁ
なんて今更後悔してももう遅い。
自分の目の前は霞んでいて、まともに歩けているのかも分からなかった。
真っ暗闇の中。はっ、はっ、と呼吸が浅くなり、空気を吸いたいのに吸えない状況が続く。
『も.....う、無理.....』
フラフラと歩いていた瞬間、グラッと意識が遠のいた。
それと同時に足の力が抜け、地面に倒れる。
......はずだった。
誰かに支えられる感覚が微かに感じられ、
そしてそれと共に聞こえる叫ぶような呼び掛け声。
きっと大きな声で呼んでいるんだろうけど、私にはその声すらもずっと遠くから聞こえているように感じた。
微かに分かったのは火薬の匂い。
それだけ頭に記憶させた後、私はふっと意識を手放した。
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春の黒猫(プロフ) - 依利さん» コメントありがとうございます!すごく励みになります...頑張ります^ ^ (2020年10月12日 21時) (レス) id: aee551e7f9 (このIDを非表示/違反報告)
依利 - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年10月11日 21時) (レス) id: ed636e8d4e (このIDを非表示/違反報告)
春の黒猫(プロフ) - 菜々さん» コメントありがとうございます。読者様が苗字を設定しない場合、元々の主人公の苗字を設定しておいて欲しいとの事でしょうか...?一応この小説は苗字と名前の設定が可能になっておりまして、あえて苗字を設定していないのですが...(・・;) (2020年10月9日 16時) (レス) id: aee551e7f9 (このIDを非表示/違反報告)
菜々 - こんにちは読みたい所ですが設定のとこ少し直した方思います参考なったら嬉しいです例えば→夢崎(名前)。こんな感じです読みづらくすみません (2020年10月8日 16時) (レス) id: ea6e979d26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春の黒猫 | 作成日時:2020年9月22日 16時