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第二十四話 「自由」 ページ25








そういえば、利吉さんはなぜここに居るんだろう。
山田先生に会って、もうすでに帰ったと思っていたのに。




考えていると、私は『そう言うことか』と理解した。





『利吉さんがここに居るのって、もしかして夜間の警備のためですか?』


「そうだよ、父に頼まれてね。」







あぁ見えて結構人使いの荒い人なんだよ。と愚痴をこぼす利吉さん。
不満そうな顔からして、普段から色々なことを頼まれてるのかな....?









_____それなら、彼に頼まないで.....









『私を使ってくださればいいのに』







そう、ぽろっと口から出た言葉。




利吉さんはそれを聞いた途端、
眉の皺を深くさせ、怒った表情を見せる。







「そんな言い方をするな.....!

君はもう道具じゃないだろう.....」







私はハッとした。


完全に無意識だった、"自分を使え"だなんて.....
もう何年も城の道具として扱われてきたから、自分が使われる事に慣れてしまったのだろうか。







『........すみません、私......』





せっかく自由になりたいと城を出てきたのに、これじゃ何も変わってないじゃないか。

それに私が城を出た後、忍術学園と関わりを持ってしまったせいで色々な人に迷惑をかけているというのに....







「.......幼い頃からそういう風な環境で過ごしてきたんだ、仕方ないさ。

でもこれだけは覚えておきなさい。







____今の君は自由だ。」









その利吉さんの言葉が、深く私の胸に突き刺さる。


今までの私には絶対に与えられなかった”自由"という言葉。


彼の顔を見ると優しい表情をしていて、思わず目頭が熱くなった。







『..................はい』








そう言うと、彼は何も言わずに私の頭をぽんぽんと撫でてくれた。





誰かに頭を撫でられるのなんていつぶりだろう....

城に入ってから優しく頭を撫でられることなんて無かったから....






____ずっと昔。

今は亡き母や父に頭を撫でられたのを思い出し、
ほろりと目から涙が溢れた。









第二十五話 「年上の説得力」→←第二十三話 「神出鬼没」



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春の黒猫(プロフ) - 依利さん» コメントありがとうございます!すごく励みになります...頑張ります^ ^ (2020年10月12日 21時) (レス) id: aee551e7f9 (このIDを非表示/違反報告)
依利 - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年10月11日 21時) (レス) id: ed636e8d4e (このIDを非表示/違反報告)
春の黒猫(プロフ) - 菜々さん» コメントありがとうございます。読者様が苗字を設定しない場合、元々の主人公の苗字を設定しておいて欲しいとの事でしょうか...?一応この小説は苗字と名前の設定が可能になっておりまして、あえて苗字を設定していないのですが...(・・;) (2020年10月9日 16時) (レス) id: aee551e7f9 (このIDを非表示/違反報告)
菜々 - こんにちは読みたい所ですが設定のとこ少し直した方思います参考なったら嬉しいです例えば→夢崎(名前)。こんな感じです読みづらくすみません (2020年10月8日 16時) (レス) id: ea6e979d26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春の黒猫 | 作成日時:2020年9月22日 16時

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