第十九話 「ツリ目がちな男の人」 ページ20
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.......まぁその城も抜けてきたからもう関係ないんだけどね。
『........薬、ありがとうございます。
今日はおとなしくしているつもりなので安心してください。』
「はい.....って、おとなしくしているのが普通なんですからね!?」
そういうとこですよ!なんて言う新野先生は怒りつつも少しだけ口角を上げて笑っているように見えた。
......よかった、空気が戻って。
新野先生にもずっと迷惑をかける訳にもいかないから、
なるべく心配をかけないようにしよう。
そう思って私も思わずふふっと笑みを浮かべると、
突然先生が何か思い出したように目を見開いた。
「そう言えば、もうお昼前ですね...
そろそろ医務室へ戻らないといけないのでこれで失礼します。」
『すみません、ありがとうございました。』
どうやらお昼前に戻らないと午前中課題やなんやらで怪我をした生徒が医務室へわんさか来るそうで、新野先生は足早に部屋を出て行った。
医務室の先生って大変なんだなぁ.......
*
私だけ残された部屋は静かで、こういう空間にいるとどうしても考え事をしてしまう。
私も彼らのように両親がいたなら、もっと真っ当な人生を歩んでいただろうか。
あるいはこんな風に危険なことをする忍びになんてなっていなかったのだろうか。
『............はぁ』
こんなこと考えても余計に疲れるだけだ....
私は意味もなく考えるのをやめて、戸に背を向け寝返りを打つ。
......その瞬間、戸の向こう側で人の気配を感じた。
『..........』
殺気は........
感じられない。
かと言ってほっとくのも気分が悪いし.....
とりあえず話しかけてみよう。
『あの.....どちら様ですか?』
そう向こうの人に問うと、
戸がすっと開いた。
「君が例のくノ一か。」
目の前にいたのは、
少しつり目がちで、顔が割と整っている男の人だった。
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春の黒猫(プロフ) - 依利さん» コメントありがとうございます!すごく励みになります...頑張ります^ ^ (2020年10月12日 21時) (レス) id: aee551e7f9 (このIDを非表示/違反報告)
依利 - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年10月11日 21時) (レス) id: ed636e8d4e (このIDを非表示/違反報告)
春の黒猫(プロフ) - 菜々さん» コメントありがとうございます。読者様が苗字を設定しない場合、元々の主人公の苗字を設定しておいて欲しいとの事でしょうか...?一応この小説は苗字と名前の設定が可能になっておりまして、あえて苗字を設定していないのですが...(・・;) (2020年10月9日 16時) (レス) id: aee551e7f9 (このIDを非表示/違反報告)
菜々 - こんにちは読みたい所ですが設定のとこ少し直した方思います参考なったら嬉しいです例えば→夢崎(名前)。こんな感じです読みづらくすみません (2020年10月8日 16時) (レス) id: ea6e979d26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春の黒猫 | 作成日時:2020年9月22日 16時