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第十話 「忍者のたまご」 ページ11









『君も左肩、ちゃんと手当てしてもらってね。』






そう言うと、彼は驚いたのか「え」と小さく声を漏らす。

正面から見ると分かりづらかったものの、後ろ姿を見た時に左肩が少し下がっているのが見えた。





己の頭の蝿を追えとか何とか言ってやりたい気分だけど、上級生なのに警戒しなかったし、少し嫌味っぽかったけど心配してくれたのでそんな事は言えない。

*己の頭の蝿を追え(他人のことにあれこれ口を出す前に、まず自分のことをきちんとせよと言う意味)







彼は少し硬直した後、もう1度私の方に向き直ってペコリと頭を下げ、その場を後にした。






_________





『立花君.....素質ありそうなタイプだったなぁ』







相手がどんな人間であろうと、決して弱みを見せない。忍者であれば当たり前の行動。

それに、忍者のたまごであれだけ平然を装えるなら上等な方だ。...って言っても同い年なんだけどね...







そんなことを考えながら学園の周りをぐるっと一周したが、相手の気配を感じなかったので私は医務室に戻ることにした。








......ここで戻ってしまったのが間違いだったのかも知れない。








医務室に戻ると、私の様子を見に来た新野先生がもの凄い形相で私を待っていたのだ。








「どこに行っていたんですか!貴方思ったより重症なんでからじっとしていないと治りが遅くなるんですよ!?」


『はは...平気ですよ、このくらい。別に骨折しているわけでも無いですし。』








それに慣れてるんです。なんて笑って言ってみると先生の顔は少し曇る。

けれどすぐに普段の表情に戻り私に注意を促した。







「慣れていたとしても、傷を治療するのに時間は必ずと言っていいほど必要なんです。わかったら大人しく寝ていてください。」





そう言うと、新野先生は私に替えの忍び装束を渡し「ちゃんと寝ていてくださいね」としっかり釘を刺して医務室から出て行った。








傷を治すには時間が必要....か。

確かにそうだ、私だってすぐに傷が治るような得意体質の人間でも無い。




けれど例え他の人から見たらかなり重症な傷でも、私からしたらそれほど大したことではないんだ。









私は......城を守るためだけの<道具>だったのだから。









第十一話 「驚愕の事実」→←第九話 「立花仙蔵」



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春の黒猫(プロフ) - 依利さん» コメントありがとうございます!すごく励みになります...頑張ります^ ^ (2020年10月12日 21時) (レス) id: aee551e7f9 (このIDを非表示/違反報告)
依利 - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年10月11日 21時) (レス) id: ed636e8d4e (このIDを非表示/違反報告)
春の黒猫(プロフ) - 菜々さん» コメントありがとうございます。読者様が苗字を設定しない場合、元々の主人公の苗字を設定しておいて欲しいとの事でしょうか...?一応この小説は苗字と名前の設定が可能になっておりまして、あえて苗字を設定していないのですが...(・・;) (2020年10月9日 16時) (レス) id: aee551e7f9 (このIDを非表示/違反報告)
菜々 - こんにちは読みたい所ですが設定のとこ少し直した方思います参考なったら嬉しいです例えば→夢崎(名前)。こんな感じです読みづらくすみません (2020年10月8日 16時) (レス) id: ea6e979d26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春の黒猫 | 作成日時:2020年9月22日 16時

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