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組紐 ページ8

そっと包みを開くと、そこにはAが見とれていた組紐が入っていた。
「っ!…これ…」
『見ていたのはそれで合っていただろうか!?熱心に見ているようだったのでな!付き合って貰った礼として、受け取って貰えると有難い!!』
そう言う杏寿郎も少し緊張しているのか、何処を見ているのか分からない。
「ありがとうございます…。これで合ってます。杏寿郎さんに似てて、見惚れてたんです」
『…』
「あ…」
Aは言った後に、大胆な事を言ったかもしれないと気づいた。
(どうしよう…!顔上げられない…)
あまりにも恥ずかしくなり俯き続けていると、杏寿郎がふっと笑ったように感じ、恐る恐る顔を上げる。
『そうか…俺に似ていたか…』
「っ…!」
そこには照れたように嬉しそうに恥ずかしそうに、柔らかくはにかむ杏寿郎の姿があった。
「だ…大事にします」
『ああ!!』
そっと組紐を持ち上げれば、鈴がチリンと優しい音を立てた。

「あの…良かったら、これで私の腕を括って貰えませんか?」
そう言うとAは組紐と利き手では無い方の腕を、杏寿郎へと差し出す。
『うむ!』
そう言うと杏寿郎は組紐を受け取り、腕を括っていく。
(杏寿郎さんがどんなに危険な任務に行ったとしても、必ず生きて戻ってきてくれますように…)
Aは杏寿郎が括ってくれる組紐を見つめながら願いを込める。
『随分熱心に見るのだな…括りにくい!』
「あ!ごめんなさい…私の居た所では、こういう組紐を括る時に願いを込めると、切れた時に叶えてくれるって願掛けがあるんです。」
慌ててAは理由を話せば、杏寿郎は少し驚いたような顔をする。
『何か願掛けをしたのか?』
「はい。」
『…』
願掛けの中身を知りたそうな杏寿郎から、Aはそっと顔を逸らした。
「願掛けの内容を言ったら叶わなくなっちゃいますので…」
『よもや…』
ぽつりとAが言うと、杏寿郎は少し残念そうな顔をしたのだった。


『ここで大丈夫なのか?』
甘味を食べ終えたAと杏寿郎は、仕立て屋の前に立っていた。
「はい!ここで須磨さんと待ち合わせの約束をしているので」
『Aちゃ〜ん!』
そんな話をしていると、須磨がこちらへと駆けてくる。
『ふむ。宇随の奥方が一緒なら安心だな!では、俺はここで失礼しよう!』
そう言うと、杏寿郎は大荷物を抱え直す。
「荷物いっぱいだし、気をつけて帰って下さいね」
『うむ!君たちも気をつけて帰りなさい!』
そう言うと杏寿郎は、煉獄家へと向かった。

組紐2→←街へ2



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さや(プロフ) - 更新ありがとぉ〜!いつにも増して引き寄せられるのたまらない(´﹃`)のらは状況を説明してくれる文がほんと丁寧だから、アクスタを前に妄想しながら読んじゃったよ(*ˊᗜˋ*)w‪いい萌えをありがとう♡!! (2023年2月27日 1時) (レス) @page37 id: 7025e10926 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa152(プロフ) - さや、コメントありがとう♡やっと再開(´;ω;`)待っててくれてありがとうー!!(*´˘`*)♡ (2022年10月23日 21時) (レス) id: 5021f8e528 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - のらの新話がもう読めた(;//Д//)‼すけこまし扱いされてる煉獄さん助かる(੭ु//́Д/̀/)のら再開ありがとぉ♡♡ (2022年10月23日 21時) (レス) @page29 id: 7025e10926 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - cocoa152さん» 一応お伝えします。鬼滅の妖怪奇談にでているジバニャンやかごめの台詞は、兵庫水軍と犬夜叉異聞路という私の別の作品に在ります。宜しければ其方も是非。まだ完結はまだですが… (2022年4月25日 21時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa152(プロフ) - みこち様、初めまして。コメントありがとうございます✨楽しんで頂けて嬉しいです(*≧▽≦)読みに行かせていただきますね♪ (2022年4月25日 18時) (レス) id: 5021f8e528 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のら | 作成日時:2022年3月26日 11時

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