進展?3 ページ26
(杏寿郎さんは、私で本当に良いのかなぁ……)
そっと抱き寄せられた腕の中で、Aはそんなことを考えていた。
『己で良いのか等という愚問は持たないでくれ!』
「っ!?なんで分かったんですか!?」
杏寿郎の言葉に思わずそう問いかけると、己を抱きしめる杏寿郎の腕が幾分か強くなる。
『やはり、そんな事を考えていたか』
「ご、ごめんなさい。」
呆れを含んだ杏寿郎の声に、Aは思わず謝罪の言葉を口にする。
『何故、そんな事を思う?俺の言葉は君に信用を与えるに足りないのか?』
「ち、違います!そういう訳じゃ…………」
明確な理由は無いが不安と言うことだろうと、結論づけた杏寿郎はふっと笑みを漏らす。
『他の誰でもなく俺が君が良いと、そう思ったんだ。誰にも文句は言わせない。』
「っ!」
思わず言葉を詰まらせたAの髪をそっとなでると、杏寿郎は己の持つ責務について話し始めた。
『母上に幼い頃、“弱き人を助けることが、強く生まれた者の責務だ”と教わった。それ以来……母上がお亡くなりになっても、その言葉を胸に俺は俺の責務と向き合ってきた。例え、己の命が尽きても、弱き者を助けられるなら、それで良いと……』
そこまで聞いたAはそっと杏寿郎の胸を押し離れると、杏寿郎の金環の瞳を見つめた。
『っ!?』
Aは両手を伸ばし杏寿郎の頭を抱えるようにすると、己の胸へと引き寄せた。
「沢山頑張ってきましたね。きっと、お母さんはそんな杏寿郎さんの姿を見て、“立派に責務と向き合っていますよ”って言ってくれるはずです。杏寿郎さんが、己の責務と向き合ってくれているお陰で、この命も助かってこうして杏寿郎さんと過ごせています。ありがとうございます。そんな頑張り屋さんの杏寿郎さんも大好きですが……たまには、私達にも寄りかかっていいんですよ?たまには、息を抜いていいんですよ?その為に……私は貴方の傍に居たい。」
トクン…トクン…
Aの心臓が鳴らす音にを耳にして、杏寿郎は泣きたくなるような気がした。
『ありがとう……君の様な女子が傍に居てくれる俺は、この世で一等果報者だ……』
そう言うと、杏寿郎はAの胸に縋るように己のよりも細い腰を引き寄せた。
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さや(プロフ) - 更新ありがとぉ〜!いつにも増して引き寄せられるのたまらない(´﹃`)のらは状況を説明してくれる文がほんと丁寧だから、アクスタを前に妄想しながら読んじゃったよ(*ˊᗜˋ*)wいい萌えをありがとう♡!! (2023年2月27日 1時) (レス) @page37 id: 7025e10926 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa152(プロフ) - さや、コメントありがとう♡やっと再開(´;ω;`)待っててくれてありがとうー!!(*´˘`*)♡ (2022年10月23日 21時) (レス) id: 5021f8e528 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - のらの新話がもう読めた(;//Д//)‼すけこまし扱いされてる煉獄さん助かる(੭ु//́Д/̀/)のら再開ありがとぉ♡♡ (2022年10月23日 21時) (レス) @page29 id: 7025e10926 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - cocoa152さん» 一応お伝えします。鬼滅の妖怪奇談にでているジバニャンやかごめの台詞は、兵庫水軍と犬夜叉異聞路という私の別の作品に在ります。宜しければ其方も是非。まだ完結はまだですが… (2022年4月25日 21時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa152(プロフ) - みこち様、初めまして。コメントありがとうございます✨楽しんで頂けて嬉しいです(*≧▽≦)読みに行かせていただきますね♪ (2022年4月25日 18時) (レス) id: 5021f8e528 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のら | 作成日時:2022年3月26日 11時