竜胆の花束を貴方に(煉獄杏寿郎)2

無限列車6 ページ17

『煉獄さんから概ねの事は聞きました。後方五両は煉獄さんお一人でも心配ないでしょうが、皆さんにここを任せることもあると思います。よろしくお願いしますね。』
しのぶの言葉に、Aたちは大きく頷いた。

ｽﾞｽﾞｽﾞ…………ﾋｭｯ！ﾄｽｯ！
『ｷﾞｨｧｧｧｱｱｱｱ!!!!』
伸びてきた触手にAが血が入った小瓶の付いたクナイをなげる。
刺さった衝撃で小瓶が割れ、傷口からAの血が入り込んだことで、鬼の絶叫が響く。
(この前の蜘蛛の鬼の時の致死量と同じだけど、そこまで効いてない……この鬼、強いんだ……)
そんなことを考えながら次に投げるクナイに手を伸ばす。

『雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃』
「っ！？」
クナイを投げようとしていたAに向かって伸びてきた触手を、善逸が切り落とす。
「あ、ありがとう……」
いつもくねくねしている善逸が、きりりとした態度で戦う姿に、Aは思わず固まってしまう。

『ｷﾞｨｲｧｧｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱ!!!!』
先程とは比べ物にならないほどの断末魔が汽車内に響く。
それと同時にのたうち回るかのように汽車の車体が大きく揺れる。
「きゃぁぁぁ！？」
天地が逆になるような大きな揺れに、Aの身体が投げ出されるように飛ばされる。
ガシッ！と腕を捕まれ引き寄せられる。
「杏寿郎さん！？」
『舌を噛む！！』
そう言うと杏寿郎はAを脇に抱え端に避難させると、車体の揺れを最小限にするために技を連発していく。
杏寿郎のお陰か、汽車内での被害はそれ程大きくなかった。


「しのぶさん！！これはどこに運びますか！？」
汽車の揺れが収まると、Aはしのぶの救助の手伝いをするべく、治療器具等を持って走り回っていた。
『Aさん、それはあちらの木にもたれかかっている女性の横に、これは足を怪我している男の子の所へお願いします！』
治療をしつつ的確に指示を出すしのぶに驚きながら、Aは指示された場所へと道具を運んでいた。
(あれ……？)
少し離れた所で寝転んでいる炭治郎と、炭治郎に話しかけているであろう杏寿郎の姿に目が止まる。
『行ってきていいですよ。もうここは落ち着きますから。』
そんなAの様子に気づいたしのぶは、Aから道具を受け取り、杏寿郎達の方へ向かうように促す。
「ありがとうございます！ちょっと行ってきます！」
Aは嬉しそうに頷くと、炭治郎と杏寿郎の居る場所へと駆けていった。

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