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無限列車2 ページ13

「うわぁ…」
Aは車窓から流れる景色を、瞳を輝かせながら追っている。
それを見た杏寿郎はふわりと瞳を細めると、同じように車窓へと視線を向けた。
『Aさんは、汽車は初めてでしょうか?』
杏寿郎とAが座る座席の向かい側に座るしのぶは、はしゃぐように景色を見るAに質問を投げかける。
「あ、はい。すみません…任務なのに」
己のはしゃぎ様に気づいたAは、少し頬を染め姿勢を整えた。
その表情は少し恥ずかし気だ。
『その任務のことだが、俺が昨日までに得た情報を共有しておこう!』
そう言うと杏寿郎は、弁当売の2人と汽車を修理していた整備員達から得た情報を、Aとしのぶに話し始めた。

『なるほど…やはり十二鬼月の可能性が高そうですね』
杏寿郎の話を聞き終えたしのぶは、真剣な表情でそう呟いた。
「あの…十二鬼月ってそんなに強いんですか?」
Aの質問を聞いたしのぶは、十二鬼月について知り得ている情報を教えてくれた。
『特に上弦の鬼は柱三人分の強さがあると思っていた方が良いかと…』
その言葉を聞いてAは息を飲む。
恐怖なのか緊張なのか…Aは己の手が小刻みに震えるのを感じ、太ももの布を握りしめるようにギュッと掌を握った。
『大丈夫だ!!ここに居るものは誰一人として死なせない!その為に、俺たちがここに来た!!』
「っ!」
Aの拳に暖かい掌を乗せ、杏寿郎は微笑んでみせる。
『煉獄さんの言う通りですよ。』
しのぶもそれに習う様に、反対側のAの手に己の手を乗せる。
「はい…こんなに心強い二人が傍に居てくれるのに、弱気になるなんて…」
Aはそう言うと、きっ!と前を向く。
その瞳には恐怖の色ではなく、強い意志の色が含まれていた。



『腹ごしらえをしよう!!腹が減っては何とやら…だ!!』
そう言うと杏寿郎は始発駅で買い求めた牛鍋弁当を、いそいそと風呂敷から出し始める。
(毎回思うけど、すごい量…)
それを見ていたAは思わず苦笑した。
『Aさん、私達も食べましょうか?』
「はい!」
しのぶの声掛けに大きく頷くとAは、わくわくと心を踊らせながら、お弁当の蓋をそっと開けた。


『うまい!!!!!!!』
汽車の中に杏寿郎の声が響き渡る。
最初こそ周りの乗客達は驚き、A達が座る座席へちらちらと視線を投げかけてきた。
しかし、何度も響き渡る大声に次第に皆慣れてきたのか、視線を逸らしたり帽子で顔を覆うようにして、視線を遮るようになっていた。

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さや(プロフ) - 更新ありがとぉ〜!いつにも増して引き寄せられるのたまらない(´﹃`)のらは状況を説明してくれる文がほんと丁寧だから、アクスタを前に妄想しながら読んじゃったよ(*ˊᗜˋ*)w‪いい萌えをありがとう♡!! (2023年2月27日 1時) (レス) @page37 id: 7025e10926 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa152(プロフ) - さや、コメントありがとう♡やっと再開(´;ω;`)待っててくれてありがとうー!!(*´˘`*)♡ (2022年10月23日 21時) (レス) id: 5021f8e528 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - のらの新話がもう読めた(;//Д//)‼すけこまし扱いされてる煉獄さん助かる(੭ु//́Д/̀/)のら再開ありがとぉ♡♡ (2022年10月23日 21時) (レス) @page29 id: 7025e10926 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - cocoa152さん» 一応お伝えします。鬼滅の妖怪奇談にでているジバニャンやかごめの台詞は、兵庫水軍と犬夜叉異聞路という私の別の作品に在ります。宜しければ其方も是非。まだ完結はまだですが… (2022年4月25日 21時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa152(プロフ) - みこち様、初めまして。コメントありがとうございます✨楽しんで頂けて嬉しいです(*≧▽≦)読みに行かせていただきますね♪ (2022年4月25日 18時) (レス) id: 5021f8e528 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のら | 作成日時:2022年3月26日 11時

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