33-1 磯貝君と体育祭 ページ41
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南の島で前原君と約束した通り、私は前原君含めた数人のクラスメイトと一緒に磯貝君のバイト先に訪れていた。
皆で働く磯貝君の姿を観察していた。
「うーむ、イケメンだ」
こんなに見ていたら磯貝君も働きにくいんじゃとは思ったけど、今じゃ揃って磯貝君を見つめてしまっている。
「いらっしゃいませー！あ、いつもどうも、原田さん伊東さん」
「ゆーまちゃん元気〜？もーコーヒーよりゆーまちゃんが目当てだわこの店」
「いやいや、そんなん言ったら店長がグレちゃいますよ。原田さんモカで伊東さんエスプレッソWでしたよね。本日店長おすすめでシフォンケーキありますけど」
「あ、じゃあそれ2つ〜」
「まいど！！」
そう笑顔で接客する磯貝君を見てかっこいいなぁと思う。
バイトとは思えないくらい仕事ができて、もうここの従業員さんみたいだ。
「おまえら粘るなー紅茶一杯で。はいどうぞ、チョコレートケーキ」
『わぁ、美味しそう…ありがとう』
バイト先に居座るのに紅茶だけだと申し訳ないと思ってチョコレートケーキも注文したんだけど、すごく美味しそう。思わず頬が緩む。
「いーだろ、バイトしてんの黙っててやってんだから」
「はいはいゆすられてやりますよ。出がらしだけど、紅茶オマケな」
「「(イケメンだ…！！)」」
皆それぞれいいところはあるけど、E組一番のイケメンはと問えば皆迷わず磯貝君って答えると思う。
何よりその人格。前原君や赤羽君のような危なっかしさも無く、友達には優しく目上の人には礼儀正しい。全ての能力が
現に目の前でお盆に多く乗せられたお皿やコップを運んでいるし。
「「(あんなに一度に運べるなんて…イケメンだ！！)」」
E組に落ちた理由も、校則違反が原因なんだって。
「なーに、またお母さん体調崩されたの？」
「ええ、まぁ。うち母子家庭なもんで、俺も少しは家計の足しにならないと。前に一度学校にバレてちょっと痛い目見ましたけどね」
「(イケメンだ！！)」
マダムと話していて途中でウィンクもできてしまう。
「あいつの欠点なんて貧乏くらいだけどさ、それすらイケメンに変えちゃうのよ。私服は激安店のを安く見せず清潔に着こなすしよ」
「(イケメンだ！！)」
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作者名：野乃梅 | 作成日時：2023年7月30日 0時
