32-1 コードネームを付けよう ページ37
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「ジャ、「
カエデちゃんがこのクラスにやってきたのはほんとに3年生に上がってすぐのこと。私も木村君のフルネームを知った時は内心こんな感じで驚いたものだ。
「皆武士の情けで"まさよし"って読んでくれてんだよ。殺せんせーにもそう呼ぶように頼んでるしな」
「最初入学式で聞いた時はビビったよなー」
「卒業式でまた公開処刑されると思うと嫌ったらねーよ」
木村君の両親は警察官らしくて、正義感で舞い上がっちゃって付けられた名前だそう。
この間風邪で病院にかかったらフルネームで名前を呼ばれてその場にいた患者さんは皆驚きを隠しきれなかったらしい。だから病院は嫌いなんだって。
「「親の付けた名前に文句を言うとは何事だ！！」って叩いてくるしよー。子供が学校でどんだけからかわれるか考えた事もねーんだろーな」
そういう経験をしてきたからか、ほんとに嫌そうに言う木村君に思わず苦笑いしてしまった。
「そんなモンよ親なんて。私なんてこの顔で"
「い、いや…」
狭間さんのお母さんはメルヘンを信じる人みたいで、気に入らない事があったらすぐヒステリックにわめき散らすらしい。
「そんなストレスかかる家で育って…名前通りに可愛らしく育つわけ無いのにね」
「大変だねー皆、へんてこな名前つけられて」
狭間さんは顔色を変えずにそう言うけれど、皆何で返していいか分からず黙り込む。そんな時、話題に突如入ってきた赤羽君。赤羽君の下の名前も結構変わってるよね…？
業って書いてカルマでしょ？
「あー俺？俺は結構気に入ってるよこの名前。たまたま親のへんてこセンスが子供に遺伝したんだろーね」
「先生も名前については不満があります」
「殺せんせーは気に入ってんじゃん。茅野がつけたその名前」
「気に入ってるから不満なんです」
未だに「殺せんせー」と名前で呼んでくれない人が2名ほどいるらしい。烏間先生とイリーナ先生のことか。
「烏間先生なんて私を呼ぶ時「おい」とか「おまえ」とか、熟年夫婦じゃないんですから」
「…だって…いい大人が「殺せんせー」とか…正直恥ずいし」
いじけて泣き出す殺せんせーに対して後ろで気まずそうにしている2人。
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作者名：野乃梅 | 作成日時：2023年7月30日 0時
