三日月とフラワー(4)【暗殺教室】 (ページ24)

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下の層はゼラチンで、上の層は生クリームを多めにした生地になっているから、自重をしっかり支えつつ上はふんわりしている。

「はいこれ。ときどき投げ入れて」

カエデちゃんがメグちゃんに渡したのはオブラートで包んだ味変わりらしい。
ずっと同じ味ばかりでは飽きてしまうから。フルーツソースやムースクリームが溶け出してあちこちで味に変化がつく部分が生まれるそう。
カップの中にはパイプを通して冷却水を流す。これだけの容積のプリンになると外気だけでは冷えないらしい。

プリンの特性を熟知していて、科学的に根拠がありつつ味もしっかり研究しているカエデちゃんに皆が驚愕する。

「やるねー茅野ちゃん。卵のニュースから一週間の間にこれ全部手配したの？」

「うん。…っていうか、前から作ってみたかったんだ」

殺せんせーを暗殺する為に諸経費も防衛省が出してくれるからいい機会だったみたい。

「そうと決めたら一直線になっちゃうんだ…私」

だから、カエデちゃんの行動力には内心すごく驚いてる。いつもは私や渚君や有希子ちゃんと後ろで皆の暗殺の手助けをしているから、サポート向きのタイプだと思っていたけど…好きなものをテーマにした暗殺になって、カエデちゃんはすごく楽しそう。

それから一晩かけて冷やしたらパイプを抜いて、その穴から空気を吹き込んで型枠を浮かせて外す。
ゆるめのゼラチンゼラチン寒天でプリン肌をなめらかに整えて、カラメルソースをかけて表面をバーナーで炙れば…

「「「できたぁーーーーっ！！」」」

「やべ〜〜超うまそ〜〜」

「あの下に爆弾ある事忘れちゃうね」

出来上がった巨大プリンに思わず写真を撮ってしまう子もいるくらい美味しそうだった。
それから殺せんせーがやってきて全部これを食べていい事を説明する。

「……こ、これ全部先生が食べていいんですか？」

「どーぞー」

「廃棄卵を救いたかっただけだから」

「もったいないから全部食べてね〜」

「もちろん！！ああ、夢がかなった！！」

あまりの感動で涙を流す殺せんせーはプリンに食いついた。
その間に皆教室に戻って起爆を見守るんだけど…なんだかちょっと寂しいな。皆で手分けして作ったプリンが爆発しちゃうんだもん。

殺せんせーはすごい勢いでプリンを食べている。そこまで辿り着くのも時間の問題になりそうだった。