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「理事長室に入ったようですねえ」
「くそ、カーテンで中が見えねえ」
理事長と何の話をしているのかはわからなかったけど、それでも私達は時間があれば竹林君の様子を見に行ったりしていた。
そうしてまた、全校集会の日がやってきた。
「…はァ？」
「また竹林がスピーチ？」
「胸騒ぎだ」
「え？」
胸騒ぎがすると言った千葉君は、竹林君から何か大事なものをメチャクチャに壊してしまいそうな殺気を感じると話した。
そうして竹林君の2回目のスピーチが始まった。
《僕の…やりたい事を聞いて下さい。僕のいたE組は…弱い人達の集まりです。学力という強さが無かったために、本校者の皆さんから差別待遇を受けています。でと僕は、そんなE組がメイド喫茶の次ぐらいに居心地良いです》
『「「！！！？」」』
竹林君の放たれた言葉に、私達は思わず目を見開いた。
《…僕は嘘をついていました。強くなりたくて、認められたくて。でも、E組の中で役立たずの上裏切った僕を、
殺せんせーは要領の悪い自分でもわかるように手を替え品を替え工夫して教えてくれた。
家族や全校生徒が認めなかった自分の事をE組の皆は同じ目線でせっしてくれた。
と、次々と出てくる竹林のその言葉を聞いて、私は前にいた陽菜乃ちゃんと顔を合わせて笑う。
《世間が認める明確な強者を目指す皆さんを…正しいと思うし尊敬します》
竹林君のスピーチ止めようと浅野君がステージの脇から出てきたみたいだけど、竹林君は何か高級そうな透明なものを取り出した。
《理事長室からくすねてきました。私立学校のベスト経営者を表彰する盾みたいです》
そ、そんな大事なものを持ち去ってきていたとは…
どうするんだろう、あれ…
《…理事長は本当に強い人です。全ての行動が合理的だ》
そう言ってどこからかナイフを取り出した竹林君は、持っていた理事長先生の盾をその場で破壊したのだ。
浅野くんが言った話だそうだけど、過去にこれと同じ事をした生徒がいたという。
「E組行きですね。僕も」
そう言った竹林君の顔は、私達と別れた時よりもずっとスッキリしているように見えた。
「なんかデカイバスケットボールが挟まってるぞ」
「うそぉ、怖ーい…」
殺せんせー、来てたんですね…
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作者名：野乃梅 | 作成日時：2023年7月30日 0時
