三日月とフラワー(4)【暗殺教室】 (ページ20)

今日:35 hit、昨日:49 hit、合計:16,492 hit

28-3 ページ20

有希子ちゃんが呪いから逃れたいと願っていたように、竹林君だってきっとそうなんだと思う。
でもその呪いの解き方を、学校の授業は教えてくれない。

▽ ▽ ▽

「おはようございます」

ガラリと教室に入ってきた殺せんせーは、修学旅行で日焼けした時のように真っ黒になっていた。

「急きょアフリカに行って日焼けしました。ついでにマサイ族とドライブしてメアド交換も」

マッハでアフリカまで行って現地で車に乗ってドライブ…ローテクなのかハイテクなのかわからない旅行だ。

「これで先生は完全に忍者！！人ごみで行動しても目立ちません」

いや、逆に恐ろしく目立ちます…

「そもそも何のために！？」

「もちろん、竹林君のアフターケアです」

「…アフターケア？」

「自分の意志で出ていった彼を引き止める事はできません。ですが、新しい環境に彼がなじめているかどうか、先生にはしばし見守る義務がある。
もちろんこれは先生の仕事。君達はいつもと同じに過ごして下さい」

いつもと同じように過ごせと言われても、「地球の終わりや百億円よりも家族に認められる方が大事だ」って苦しそうに言った彼を思い出したら何もしないわけにもいかないし、私たちのことが嫌いになって出ていったわけではないから。

「俺等もちょっと様子見に行ってやっか。暗殺も含め危なっかしいんだよ、あのオタクは」

「なんだかんだ同じ相手を殺しに行ってた仲間だしな」

「脱けんのはしょうがないけど、竹ちゃんが理事長の洗脳でヤな奴になったらやだな〜〜」

殺意が結ぶ絆。この暗殺教室で築かれたこの雰囲気を見渡して、私は微笑んだ。

放課後、烏間先生に教わったカモフラージュを頭につけて竹林君の教室の様子を見に行った。

「結構うまくやってるみたいじゃない」

「むしろ普段より愛想良くね？」

「ケ、だから放っとけって言ったんだあんなメガネ」

かと言って鼻の穴に指を突っ込みながら参加している寺坂君。結局心配してるんじゃ…

そしてさっきから気になるのは殺せんせー。私達と同じカモフラージュを身につけているけど、黒いからすぐ周りにバレそうで怖い。

「重森、見てみろ」

『へ？何を？』

「竹林。メガネの色ツヤも良さそうだ」

『わ、ほんとだ…さっき拭いたのかな』

すると浅野君が竹林君に声をかけるのが見えて移動する2人を追うように私達もそっと移動した。