三日月とフラワー(4)【暗殺教室】 (ページ16)

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隣の磯貝君の方を見れば手際よく金魚を掬っているから思わずその手元に見入ってしまう。

『やっぱりすごいなぁ磯貝君は。何でもそつなくこなしちゃうんだもん』

「ははは、コツだよ。ナイフで斬る感覚と結構近いぞ」

磯貝君ナイフの成績トップだもんね。
どんどんボールに入れられていく金魚達は山盛りに詰められて、2個目のボールが山盛りになるまで続いた金魚掬いはとうとう終わりを告げるように紙が破れた。

「こんなもんかな。うち貧乏だから、百円で一食分浮いたのはありがたいわ」

『そっか』

ぎゅうぎゅうに袋に詰められた金魚を見て嬉しそうにする磯貝君に相槌を打った私。頭上に音符がついてるように見えるくらい磯貝君は喜んでいたから、私も思わず微笑んだ。

『…………』

あれ…さっき磯貝君、"一食分浮いた"って言った…？

『(え？…食べるの！？)』

こんなにたくさんの金魚を水槽で飼うのかと思ってたのに、それは磯貝家の食料になるそうで、その事実に私は顔が引き攣った。
弟さんと妹さんが水槽の中の金魚を見て喜ぶ姿を想像してたんだけど、そっちなのか…

周りのクラスメイトの様子をチラリと見てみても、皆学校で習った暗殺技術を活かして屋台の商品を獲得していた。

「こ、殺せんせー…」

じわりじわりと支店を増やしてお金を稼いでいる殺せんせー。じわりじわりと支店を増やして、早じまいした店のスペースに入り込んで小遣い稼ぎをしていた。
私達は知らない間に殺せんせーの小遣い稼ぎの片棒を担いでしまっていたらしい。

ドォン

『わぁぁ…綺麗…』

暗くなって星が煌めく夜空に浮かんだのは、目が奪われるような綺麗な花火。
夏休みの終わりを告げるにはとても素敵なものだった。

「ずっと言おうと思ってたんだけどさ」

『？どうしたの？』

「浴衣…すごく似合ってる」

『えっ！！…ほんと？？
い、磯貝君の私服姿も、すごくかっこいいよ！』

「えっ、そうか？」

照れくさそうにそう言うから、私も最初磯貝君を見た時に思った事を口にしたらお互い顔を赤くして照れ合う状況になってしまっていた。
好きな人に浴衣姿を褒められるってこんなに嬉しいんだなって。顔にどんどん溜まっていく熱はおさまりそうにない。

『きっと2学期はもっと濃くなるんだろうね』

「思い返したらさ、1学期も夏休みもだいぶ濃かったよな」