27-1 夏祭り ページ15
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「佳奈ちゃん…綺麗」
有希子ちゃんにそう褒められて、私は思わず照れてしまった。
何年かぶりに着ることになった浴衣はお母さんに着付けてもらった。髪は一つに束ねて、私は今から有希子ちゃんと夏祭りへ向かう。
実は今日がお祭りの日だなんて全然知らなかった私達。ゲームセンターの帰りに変装した殺せんせーが突然目の前にマッハでやって来た時は心臓が止まるかと思った。
「用事で断る人が意外と多くて傷ついている」と泣いて言うものだから断りづらかったっていうのもあるけど、最近お祭りに行ってなかったこともあって楽しみである。
「あれ、神崎と重森じゃん」
「2人も殺せんせーに誘われたのか？」
神社の前でたまたま磯貝君と前原君と鉢合わせて、磯貝君と目があって思わず顔を赤くしてしまった。
『(わぁ…私服姿の磯貝君だ)』
いつも見ることがない好きな相手の私服姿はすごくカッコよく見えてしまって、こういうのが惚れた弱みっていうものなのかな…？
4人で一緒に屋台を回ったりしていると、殺せんせーの周りにクラスの数人が勢揃いしていた。
「いやぁ、思いの外集まってくれて良かった良かった。誰も来なかったら先生自 殺しようかと思いました」
「じゃ、来ない方が正解だったか」
何人か祭りに参加したことに殺せんせーはホッとした顔をしていた。
「磯貝、俺神崎とあっちでりんご飴食ってるから、重森と屋台回ったらどうだ？」
「俺はいいけど、重森は神崎と一緒にいたいんじゃないのか…？」
『私は…』
有希子ちゃんの方を見たら、有希子ちゃんはチャンスだよと言うように手でグッドサインを作っていた。
前原君の顔もちょっとニヤニヤしているのを見たら、やっぱりクラスに好きバレしてるんだなと実感して恥ずかしくなる。
『うん、磯貝君と一緒にまわりたい』
「っ…ああ、重森がいいなら」
お互い顔を赤くし恥ずかしそうにして、並んで屋台を回った。
「あ、金魚掬いしてもいいか？」
『うん！金魚好きなの？』
「え？いや、好きってわけではないんだけどさ」
『？？』
よし、と気合を入れて金魚掬いの列に並んだ磯貝君の後ろに私も並ぶ。
そういえば弟と妹がいるって聞いたから、それで金魚を持って帰るのかなと思っていた私。
ビリッ
『あ…』
順番が来て金魚を掬おうとしたら初っ端から紙が破れてしまった私。
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作者名：野乃梅 | 作成日時：2023年7月30日 0時
