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普通の学校生活では絶対に発掘されることのない才能。
殺気を隠して近づく才能、殺気で相手を怯ませる才能、「本番」に物怖じしない才能。
渚君が今その場で見せたのは、戦闘の才能でも暴力の才能でもない、暗殺の才能だった。
「ひょっとして烏間先生、ミネ打ちじゃダメなんでしたっけ」
「そこまで!!」
烏間先生も黙ったままだったから渚君は鷹岡さんを捕まえたままの状態だったけど、殺せんせーが勝負ありと言ったところで鷹岡さんも解放された。
「まったく…本物のナイフを生徒に持たすなど正気の沙汰ではありません。ケガでもしたらどうするんですか」
そう言って渚君からナイフを奪ってポリポリと食べる殺せんせー。
口の中切れないんですか…?
「やったじゃんか渚!!」
「ホッとしたよもー!!」
「大したモンだよ、よくあそこで本気でナイフ振れたよな」
「いや…烏間先生に言われた通りやっただけで、鷹岡先生強いから…本気で振らなきゃ驚かす事すらできないかなって」
渚君が勝ったという現状に喜ぶ私達は一斉に渚君の周りを囲んだ。
「いたっ何で叩くの前原君!?」
「あ、悪い…ちょっと信じられなくてさ。でもサンキュな渚!!今の暗殺スカッとしたわ!!」
「笑顔でナイフ突きつけて「捕まえた」とか…渚クンは見かけによらず肉食獣だねぇ」
「違…上手くいって安心しただけだって!!」
こうして見ると渚君もどこにでもいる中学生のようで、とても強くは見えないけど…だからこそ鷹岡さんはまんまと油断して反応が遅れた。
訓練の前に、見せしめにするみたいに私や有希子ちゃんに近づいたのも、私達が弱そうで服従させれそうに見えたから何だろうな…
『「「!!」」』
「このガキ…父親も同然の俺に刃向かって、まぐれの勝ちがそんなに嬉しいか」
現状を把握したのか、座り込んでいた鷹岡さんは渚君の背後に立って顔を引き攣らせていた。
「もう1回だ!!今度は絶対油断しねぇ、心も体も全部残らずへし折ってやる」
ブチギレている鷹岡さんに対応しようと烏間先生が動こうとするも、殺せんせーに止められていた。渚君は私たちの気持ちを代弁するように振り返って鷹岡さんに言う。
「…確かに、次やったら絶対に僕が負けます。
…でもはっきりしたのは鷹岡先生、僕等の「担任」は殺せんせーで、僕等の「教官」は烏間先生です。これは絶対に譲れません」
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作者名:野乃梅 | 作成日時:2023年4月2日 22時