三日月とフラワー(2)【暗殺教室】 (ページ4)

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隠し弾(ブラインド)。全く同じ射撃の後に見えないように一発だけ追加していたのだ。

〈右指先破壊。増設した副砲の効果を確認しました。
次の射撃で殺せる確率0.001%未満。次の次の射撃で殺せる確率0.003%未満。卒業までに殺せる確率90%以上〉

暗殺対象の防御パターンを学習し、武装とプログラムに改良を繰り返し少しずつ逃げ道を無くしていく。ここに来て私たちは初めて気づいた。この子ならひょっとして殺せんせーを殺るかもしれないって。

〈よろしくお願いします、殺せんせー。続けて攻撃に移ります〉

入力済み(プログラム)の笑顔で微笑みながら、転校生は次の参加の準備を始めていた。

▽ ▽ ▽

結局1日が終わるまで続いた転校生の暗殺。授業中は転校生から放たれる弾から身を守るのに精一杯だったが、授業後に床に転がった弾を片付けるのは私達らしい。
殺せんせーを殺せるくらいの実力はあっても、お掃除機能は付いていないらしい。

そんな転校生に不満を抱く生徒が出るのも仕方がないことで、次の日登校してきたら転校生はガムテープで縛り付けられていた。

〈…殺せんせー、これでは銃を展開できません。拘束を解いて下さい〉

「…うーん、そう言われましてもねぇ」

生徒に対する危害だ、契約で禁止されていると訴える転校生だったけど、拘束したのは寺坂君である。元々殺せんせーに対して良く思っていない寺坂君でも、昨日の転校生による暗殺はそれを超えるくらい良いものではなかったらしい。

「どー考えたって邪魔だろーが。常識ぐらい身につけてから殺しに来いよポンコツ」

「…ま、わかんないよ機械に常識はさ」

〈……〉

「授業終わったらちゃんと解いてあげるから」

転校生の発砲がない授業はやはり平和だったけど、ずっと拘束されているのを見るのは心苦しく、放課後は巻かれたガムテープを剥がした。

そしてその翌日、また思わず口を開けてしまう出来事がある。

〈おはようございます、重森さん！！〉

『お、おはようございます…』

大きくなった液晶画面に映し出されたのは制服を着た転校生。昨日の冷たい表情とは違って明るくニコニコ微笑んでいる。

〈生の草木も緑が深くなっていますね。春も終わり、近づく初夏の香りがします〉

「たった一晩でえらくキュートになっちゃって…」

「これ一応…固定砲台…だよな？」

転校生がおかしな方向へ進化してきた。