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「でも、その様子じゃ楽しかったんだろ？」
『…うん！
磯貝君が、怪我しなくてよかった…』
「…俺も。重森が怪我してなくてよかった」
そう磯貝君と話をしていると、進藤君が私のことを呼んでいると杉野君から伝えられ、私は磯貝君と別れた。
「杉野が、今の
『はい…』
「でも俺は、君の友達の自慢するクラスのことを見下してバカにしていました。どうして自分が振られてしまったのかわかった気がします」
それでも私の事は諦めていないと言って、進藤君は続けた。
「これは俺の一方的な思いですけど…君に好きな人がいても、次に会う時は今よりもっといい男になっている事を誓います」
『私に、好きな人…？』
「もしかして、自分で気づいてないんですか？」
そう言って進藤君は向こうで友達と楽しそうに話をする彼に目を向けた。
「さっきあいつと楽しそうに話していた君を見て、君はあいつのことがすごく好きなんだなと思ったんだが…」
私が見ているのに気づいた彼は笑って私に手を振った。
進藤君に言われて、私が彼に抱いていた感情の名前がようやくわかった。
「羨ましいですよ。君に想われているあいつのこと」
そう言って進藤君は本校舎の方へ歩いて行ってしまった。
いつも気にかけて話しかけてくれて、
困っている時は助けてくれて、
いつも私を笑顔にしてくれて、
今だってそう。笑って私に向けて手を振って、それに対して私はすごくドキドキして嬉しくて。
私はそんな彼が、
磯貝君の事が好きである。
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作者名：野乃梅 | 作成日時：2023年4月2日 22時
