15-1 球技大会 ページ24
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ジメジメした梅雨の時期が終わり、本格的な夏の暑さを感じ始めた時期。
「あれ、重森？神崎さんと帰ったんじゃなかったのか？」
『あ、杉野君…有希子ちゃんは今日習い事の日だから先に帰ったよ』
「そうなのか…もしよかったら途中まで俺達と帰るか？」
『え、いいの？お邪魔しちゃって』
有希子ちゃんが不在の中、私は渚君・杉野君・赤羽君という修学旅行で班が一緒だった男子達と合流して帰宅している所だった。
「やっと梅雨明けだ〜。
アウトドアの季節ですな。どっか野外で遊ばねー？」
「うん、何しよっか」
「じゃ、釣りとかどう？」
「いいね」
『お魚釣り？面白そうだね』
「今だと何が釣れるの？」
「夏場はヤンキーが旬なんだ。渚君をエサにカツアゲを釣って、逆にお金を巻き上げよう」
『(ええええ！！？)』
「………ヤンキーに旬とかあるんだ」
てっきりお魚を釣りに海に寄って行くのかと思っていたのだけど、なんて物騒な釣りをしようとしているんだ…
すると、すぐそこの本校舎のグラウンドから野球のミッドの音が聞こえてきたので私達はその音のする方へ目を向けた。
「ナイスボール、キャプテン！！」
良い音を出していたのは野球部の主将である進藤君。
「ん？なんだ、杉野じゃないか。ひさびさだな」
「……おう」
「おお杉野〜」
「なんだよたまには顔出せよ〜」
「はは、ちょっとバツ悪りーよ」
杉野君はE組に来る前までは野球部に所属していた。仲良く話しているのを私達は少し離れたところです見守っていた。
「来週の球技大会投げるんだろ？」
「お？そーいや決まってないけど、投げたいな」
「楽しみにしてるぜ」
しかし、仲良くしているのは建前だけだったようだ。
「…しかし、いいよな杉野は」
「E組だから毎日遊んでられるだろ？」
「俺等勉強も部活もやんなきゃだからヘトヘトでさ」
次々と出てきたのはE組を見下すような発言の数々。
「よせ、傷つくだろ。進学校での部活との両立、選ばれた人間じゃないならしなくて良い事なんだ」
「へーえ、すごいね。まるで自分らが選ばれた人間みたいじゃん」
「うんッ、そうだよ」
人を見下して差別するような発言を爽やかに言ってのけるこの人達だけど、その言葉を受けている私達は気分が悪い。
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作者名：野乃梅 | 作成日時：2023年4月2日 22時
