三日月とフラワー(2)【暗殺教室】 (ページ20)

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「その脱皮は見た目よりもエネルギーを消耗する。よって直後は自慢のスピードも低下するのさ。常人から見ればメチャ速い事に変わりはないが、触手同士の戦いでは影響はデカいよ。加えてイトナの最初の奇襲で腕を失い再生したね。再生(それ)それも結構体力を使うんだ。
二重に落とした身体的パフォーマンス、私の計算ではこの時点でほぼ互角だ。
また触手の扱いは精神状態に大きく左右される」

まだ私たちの知らない殺せんせーの弱点を言って追い詰めていくシロさんとイトナ君。
光線を浴びた殺せんせーの体は硬直し、足2本が切り落とされてしまった。

「フッフッフ、これで脚も再生しなくてはならないね。なお一層体力が落ちて殺りやすくなる」

「…安心した。兄さん、俺はおまえより強い」

確かにこのまま追い詰められれば地球を救えるかもしれない。それはとてもいい事なのかもしれないけど…

なんか、悔しいかも。

後出しのジャンケンみたいに次々に出てきた殺せんせーの弱点。本当なら私達がこの教室で見つけたかったし、殺したかった。

「脚の再生も終わったようだね。さ…次のラッシュに耐えられるかな？」

「……」

私達が殺せんせーと過ごしたこの教室…ここで終わってしまうのだろうか。

「…ここまで追い込まれたのは初めてです。一見愚直な試合形式の暗殺ですが…実に周到に計算されてる。
あなた達に聞きたい事は多いですが…まずは試合に勝たねば喋りそうにないですね」

「…またま勝つ気かい？負けダコの遠吠えだね」

「…シロさん。この暗殺方法を計画したのはあなたでしょうが…ひとつ計算に入れ忘れてる事があります」

「無いね、私の性能計算は完璧だから。殺れ、イトナ」

シロさんの合図でイトナ君が攻撃を仕掛けたその時だった。
触手が破壊されたのは殺せんせーではなく、イトナ君の方だったのだ。

「おやおや、落とし物を踏んづけてしまったようですねぇ」

ハンカチを手にする殺せんせーの下には対先生ナイフが落ちていた。
いつの間にナイフを奪っていたんだろうか…

「！！！」

「同じ触手なら…対先生ナイフが効くのも同じ。触手を失うと動揺するのも同じです。

でもね、先生の方がちょっとだけ老獪です」

さっき脱いだ皮でイトナ君を包み込んだ殺せんせーは教室の窓の外へイトナ君を放り投げた。