三日月とフラワー(2)【暗殺教室】 (ページ17)

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「では紹介します。おーいイトナ！！入っておいで！！」

この時てっきり私達は普通にドアから入って来るのかと思っていた。

ゴッ

『！？！？』

後ろからすごい音がして振り返ってみれば後ろの壁は穴が開いて外が見えており、いつのまにか空いていた席には転校生が座っていた。

「俺は…勝った。この教室のカベよりも強い事が証明された。それだけでいい…それだけでいい…」

『(えぇ…)』

すごく不気味な人が入ってきてリアクションに困る。それは殺せんせーも同じようで、笑顔でも真顔でもない中途半端な顔をしていた。

「堀部イトナだ。名前で呼んであげて下さい。ああそれと、私も少々過保護でね。しばらくの間彼の事を見守らせてもらいますよ」

白装束の保護者と話が読めない転校生。なんだかまたひと波乱ありそうな気がする。

「ねぇイトナ君、ちょっと気になったんだけど、今外から手ぶらで入って来たよね。外どしゃ降りの雨なのに…なんでイトナ君、一滴たりとも濡れてないの？」

『あ、ホントだ…』

赤羽君の言葉に私はイトナ君の方を見てハッとする。赤羽君の言った通り、イトナ君はほんとに濡れてないのだ。

「………おまえは、多分このクラスで一番強い。けど安心しろ。俺より弱いから…俺はおまえを殺さない」

周りをキョロキョロと見渡したイトナ君は立ち上がって赤羽君の頭を撫でながらそう言った。

「俺が殺したいと思うのは、俺よりも強いかもしれない奴だけ。この教室では殺せんせー、あんただけだ」

「強い弱いのケンカの事ですかイトナ君？力比べでは先生と同じ次元には立てませんよ」

「立てるさ」

シロさんから貰った羊羹を頬張りながら言う殺せんせー。するとイトナ君は殺せんせーが持っている同じ羊羹を懐から取り出した。

「だって俺達、血を分けた兄弟なんだから」

イトナ君のその爆弾発言に私達は思わず目が点になった。

「「「き、き、き、き、き、兄弟ィ！？」」」

『(えええええ！？)』

「負けた方が死亡な、兄さん」

タコ型の兄と人間の弟ってアリなの…？

「兄弟同士小細工は要らない。兄さん、おまえを殺して俺の強さを証明する。時は放課後、この教室で勝負だ。
今日があんたの最後の授業だ。こいつらにお別れでも言っておけ」

そう言い残してイトナ君はさっき開けて入って来た穴から外へ出て行った。