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そう疑問に思ったのも束の間、イリーナ先生は今まで自身が経験して来たことを話し出した。
「アメリカでとあるVIPを暗殺したとき、まずそいつのボディーガードに色仕掛けで接近したわ。その時彼が私に言った言葉よ。
意味は「ベッドでの君はスゴイよ…♡」」
『…！！』
「ほら、茹蛸みたいになってる」
赤羽君があの英文を読まなかったのは英文の意味をちゃんと理解していたからで、訳もわからず復唱した私は英文の意味を今知って恥ずかしくなってしまった。
しかし、この文章は中学生に読ませるものではないのでは…？
「外国語を短い時間で習得するには、その国の恋人を作るのが手っ取り早いとよく言われるわ。相手の気持ちをよく知りたいから、必死で言葉を理解しようとするのよね。
私は仕事上必要な時…その
だから私の授業では…外人の口説き方を教えてあげる。プロの暗殺者直伝の仲良くなる会話のコツ、身につければ実際に外人と会った時に必ず役立つわ」
イリーナ先生がさっきの英語の時間とは違う雰囲気を放っているのはきっと、イリーナ先生なりに私達に放った言葉の事をちゃんと反省しているからだ。
そんなイリーナ先生の話に私は続けて耳を傾ける。
「受験に必要な勉強なんてあのタコに教わりなさい。私が教えられるのはあくまで実践的な会話術だけ。
もし…それでもあんた達が私を先生と思えなかったら、その時は暗殺を諦めて出ていくわ。
……そ、それなら文句無いでしょ？…あと、悪かったわよいろいろ」
急に弱気になるイリーナ先生に呆気に取られた皆はお互い顔を見合わせて笑い始めた。
「何ビクビクしてんだよ、さっきまで殺すとか言ってたくせに」
普通に先生らしくなって戻って来たイリーナ先生に流石にもう「ビッチねえさん」とは言えないと話し出す生徒達に感動するイリーナ先生。それじゃあ呼び方を変えようという事になったのだが…
「じゃ、ビッチ先生で」
あれ？「ねえさん」から「先生」に変わっただけが気がするのは私の気のせいだろうか…？
「えっ…と。ねぇキミ達、せっかくだからビッチから離れてみない？ホラ、気安くファーストネームで呼んでくれて構わないのよ」
「でもなぁ、もうすっかりビッチで固定されちゃったし」
「うん、イリーナ先生よりビッチ先生の方がしっくりくるよ」
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作者名：野乃梅 | 作成日時：2022年9月25日 16時
