66 ページ18
.
.
「まぁ俺には2人のことは関係ないし。
…ただ一つだけ、」
「中島のこと、信じてあげて。
もしうさぎちゃんが迷ってるなら、
それをあいつに言えばいいし。
あいつはなんでも受け止めるよ、きっと。
だから、もし悩んでるなら、直接言いな。
悩んでることすべてぶつけろ」
菊池さんは健人さんみたいに、
器用な人ではないんだと思う。
だけど、そのぶっきらぼうな優しさが
今の私には深く深く沁み渡ってきて、
『…っ、あ、りがとう…っございます…っ』
また涙が止まらなくなってしまった私を見て、
困ったように背中を
ポンポンっとさすってくれる。
答え、出たよ。
2週間もかかってようやく、
自分に向き合えた。
「…A、」
そんなときふいに、
すごくすごく久しぶりの、
お仕事じゃなくて
私自身に向けられた声が
しゃがみこんでる私の背中に響いてきて、
「…じゃね、頑張れ、うさぎちゃん」
顔を上げてその人を見た菊池さんは、
私だけに聞こえるようにそう呟いて
その場を後にした。
『…け、んとさん…っ』
涙を拭って振り向いた先にいたのは、
私が知ってる、自信に満ち溢れた
キラキラした健人さんじゃなくて、
不安そうに私を見つめる健人さん。
「もう俺のこと大嫌いかもしれないけど…
俺の最後のお願い、聞いてくれる？」
「…話があるんだ、」
"最後"
その言葉に、健人さんは
どれだけの思いをこめたのだろう。
『…わ、私も…、どうしても健人さんに
伝えたいこと…あって…』
あまりにも小さな私の声。
それでも悲しそうに笑った健人さんを見れば
聞き取ってくれたってことがわかる。
「来て」
ゆっくり歩き出した健人さんに
着いていけば、
しばらくして着いたのは誰もいない楽屋。
私が部屋に入ると、
背後でゆっくりと扉の閉まる音がして
重苦しい空気に、
また溢れそうになる涙を
唇を噛んでぐっと我慢していた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2086人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
KANTO LOVE - ケンティーが、まさか他の女の子と!!自分まで嫉妬したw (2019年3月30日 14時) (
レス) id: 367f723e61 (このIDを非表示/違反報告)
りんりん(プロフ) - 気になる… (2019年3月19日 21時) (レス) id: 29a6e26902 (このIDを非表示/違反報告)
そる(プロフ) - この先の話を自分で勝手にこうなるのかな？いや、そうじゃなくてこうなるな。（語彙力）だとか妄想してますwこのお話の続きが気になるので更新待ってます！ (2019年3月1日 22時) (レス) id: 3499da60d4 (このIDを非表示/違反報告)
ぱ - 続き待ってます。 (2018年4月5日 0時) (レス) id: 3f46e88231 (このIDを非表示/違反報告)
Ayano(プロフ) - このお話とても好きです！続き気になります！！更新できればして欲しいです...。 (2018年3月30日 21時) (レス) id: 6847e2e2ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：希
| 作成日時：2016年8月19日 11時
