-運命-絡み合う糸 (ページ40)

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智said

準備室に入って
緊張してるのか、
そうじゃないのか、

いまいち感情が読みとれない表情のまま
俺を見つめる彼女

俺が
「これ、手伝って」って言えば
拍子抜けした顔した。

しばらく黙々と作業してたけど
呼び出しといて
何にも聞かないのも不自然だし
多分、この前のこと言われるんじゃないかって
警戒してるはずだから
「なんかあった？」って
俺から声を掛けた

職員室で得た情報で
あらかた何があったのかわかってたけど
あえて聞いた

そしたら笑いながら話し始めたから
思わずムッとして
「笑えない」
と言えば
「笑ってくれ」
なんて言う。

泣きそうになりながら

自分の気持ちをもらす橘さん

彼女にこんな思いさせてんの
俺なのに、

優しくすることが
この子にとっての優しさじゃない
ってわかってんのに。

…ほんとに、この子のこと思ってんなら
こんなことしちゃ、いけなかったのに。

気づいたら
彼女を抱きしめてる自分がいて

…あぁ、もう手遅れだ。

俺、自分でも止めらんないくらい

橘さんに、惹かれてる。

でも、どうこうなりたいなんて思ってない。
思っちゃいけない。

どうこうなれないくせに
期待させるようなこと言って、
いい大人が自分の気持ちもコントロールできなくて、
ほんと情けな。俺。

そのあとは、タイミングよく
閉校のチャイムが鳴って
「さようなら」なんて、教師っぽいこと言って
橘さんを送り出した。

この日は、なんとなく家に帰りたくなくて
湘南にある
カフェ兼バーの
松潤とこに行って朝まで飲んだ。

朝帰りしようが
昼帰りしようが
何時になろうが、家には帰んなきゃいけなくいて

重い体を引きずって
始発で家に帰れば
リビングのテーブルに突っ伏して寝てるさなみ。

俺が冷蔵庫を閉めた音で目が覚めたみたい

さなみ「…ん。おかえり」
智「ただいま。ごめん、松潤とこで飲んでた」
さなみ「…そ」

「ベットで寝るね」
って寝室に入って行ったさなみ

重たい体に
熱いシャワーを浴びる

…俺たちはいつもそうな。

聞きたいことがあっても聞かない
肝心なことは聞かない
干渉しない

俺たちは
あまりにも長い時間
一緒にいすぎてしまったのかもしれない。

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