おかあさんではありません！4【歌.い.手】

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senra side

1度深呼吸して気持ちを落ち着かせたあと、ゆっくりとAちゃんに近寄りか細く震える彼女背中をそっと撫でた。
坂田みたいに叩かれるかもと思ったけれど、大人しく撫でられてくれている。

「...大丈夫？」
「だ、だいじょ、ぶじゃないで、す」

ひっくひっくと子供のように泣いている彼女は、この小さな体で色んなものと戦ってきたのだ。

「...ごめんなぁ。俺らAちゃんに頼ってって言っときながらなんも出来てへんね。何があったか教えて？全部話聞いたるから」

「な？」と務めて優しく問うと、ゆっくりと顔をあげたAちゃん。
泣きすぎて赤くなった目の下には化粧では隠しきれなかった隈がくっきりと見えた。
その様子にほかの3人もおずおずと近寄ってきて、Aちゃんの近くに座って頭を撫でたり「大丈夫か？」と声をかけたりしていた。

「最近、寝れてなかったんです。仕事もあったけど、なんか寝付けなくて。打ち合わせ先で変なおばちゃんに目付けられてあることないことグチグチ言われるし、接待で胸とかお尻とか、触られるし、」
「は？おい、それ誰だ」
「セクハラされたんか！」
「な、なな、なんやて...」
「うらたん、志麻くん、坂田。気持ちは分かるけど今はストップ。めっちゃ顔怖い」

3人の形相にビクッとした彼女の肩をさすり、「それで？」と続きを促す。

「なんか、疲れちゃったんです。全部。皆さんのこと好きなはずなのに今は嫌いです」

その言葉に彼女に無理をさせすぎていた自分達をぶん殴りたくなった。


(ここまで、追い詰めてたとは)
(いろんなことやらせすぎたな)
(ごめん、ごめんなさい)
(後悔しても遅いですね)

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