絶対なんて、この世にない。-2- (ページ13)

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EH「考えてもみろよ。最初は二人ともすごい楽しそうだったのにいつの間にかこんなことなってた。原因はドンへだけじゃない、Aにもあると思う」

「んー…？わかんない、何だよ？」

EH「Aが弱音吐いてるとこ、聞いたことあるか？嫌だとか、辛いとか、怒ったところとか」

「そんなのもちろん、－－－…」

頭をフル回転させて記憶をたどった。
俺といるAは、いつも笑顔で、笑顔で、笑顔で－－－…
あれ、何でだ？
辛いよなんてこと、聞いたことない。
怒ったのは、あの一度だけだ。
いつだってAは、笑顔だった。

EH「ケンカだってしてないだろ。気に入らないことあってドンへが怒ったって、言い返してこなかったんじゃないの？」

「…なんでヒョクがそこまでわかるんだよ」

何かムカつく。
Aのこと全部わかってる、みたいな言い方されて。
逆に俺が何もわかってないってこと思い知らされて。

EH「俺の時は違うぞ。嫌なことは嫌ってはっきり言うし、辛い時は助けてって言ってくる。それってさ、信用してるってことだろ？」

「じゃあ俺のことは信用してないって言いたいわけ？」

EH「そうじゃないけどさ…俺が思うにだけど、Aはドンへの前じゃ自分を抑えてると思うんだ。好きな人の前では常に明るくいたいんじゃないかなと思う」

「？つまり？」

EH「だから、変わるのはドンへだけじゃなくてAも変わる必要があるんだって」

ご飯ができたよと呼ばれ、そこで話は終わった。
30分ほど話してたけど、疑問ばかりが残った。
どうしてヒョクはあんな話を俺にしたのか。
どう変わればいいのか。
Aも変わらなきゃってどういうことなのか。

「ごちそうさま」

夕食を食べ終え、リビングのテレビ画面を見ながらそのことばかり考えていた。
本当にいつもAは笑顔だった。
仕事で辛いことがあったかもしれない。悲しいことがあったかもしれない。
でも一度だってそんなことは言わなかった。
どうして？
俺には言えない？言えない何かがあった？
俺が頼りなかった？
ヒョクにしか見せれないの？
もしかして俺に愛想尽かして、ヒョクのこと好きに…？
怖い顔をしていたのか、誰も俺に話しかけてはこない。
まだご飯を食べるヒョクの背中を見ながら、俺は嫉妬なのか焦りなのか、妙な気持ちに襲われていた。
ヒョク…ヒョクはAのこと、友達にしか思ってない…よな？