天才時々天災【桃源暗鬼】 (ページ48)

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「なら、屏風ケ浦はここで待機だな。外出の許可は既に取ってある。日が昇り次第、出発でいいか？」

『………いや、少し遅らせた方がいいかも。本土に行くなら、まず隠し方を教えないと』

一通り話し終わった後、無人からの提案に私はすぐさま待ったをかける。

隠し方、というのは鬼のツノのことだ。今のところ1人しかできていないみたいだし、アレをそのままにしていたら、一般の人々に不審がられることはもちろん、すぐ桃に見つかるだろう。

生徒たちが桃と………特に、アイツと接触することは可能な限り避けたい。あの子たちの教育に悪いからね、アイツは。絶対会わないようにしないと。

「………それもそうだな。ひとまず、そっちを優先しよう」

『うん。それと、私の荷物もらってもいい？必要になりそうだから』

確か、羅刹学園(ここ)に来たときに持ってきた荷物は無人の部屋に置いていたはず。桃と交戦中の場所へ向かうなら、持っていった方が何かといいだろう。

「それなら既に届けてある」

『話が早いね、助かるよ。それじゃ、生徒たちのことはお願いね。必要な物はこっちで用意しておくから』

「ああ、頼む」

『了解………そういえば連絡したの？』

軽く事務連絡を交わした後、私は気になっていたことを無人に問いかける。

京都といえば“彼”がいる場所だ。あの性格だし、無人が京都に行くって知ったら、何かしら連絡とか来てるはずだと思うけど。

「………」

『その様子だと来てたっぽいね。無事なの？』

「支部は無事だ」

『またそういうこと言う………まあ、いいよ。支部が無事なら大丈夫そうだね』

相変わらずの反応を見せる無人だったが、“彼”が無事であることを聞いた私は安堵の息を溢した。

基本的にずっと支部にいる奴だから、支部が攻め込まれでもしない限りは比較的安全だろう。能力的にも鬼機関にとって貴重な存在だし、前線に近い場所とか危険なところには行っていないはず。

正直、こんなすぐに会えるとは思ってなかったけど………それも、無人に続いてね。最後に会ったのはわりと昔のことだっけか。

………元気にしているといいな。こんな状況ではあるけど、会うのが今から楽しみだ。