天才時々天災【桃源暗鬼】 (ページ28)

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「んなすぐ退学ってわけわかんねぇよ！」

「わかれ。ここが普通の学校と思ってるなら1回死ぬか？」

静かに、けれど淡々と響く言葉に一瞬で空気がピリッと張りつめる。殺気にも似た気迫を受け、少年は息を呑んで押し黙った。

『………まあ、本当に死んだら、いろいろと面倒だけどね。ギリ死なない程度に殺してあげよっか？』

にこりと微笑む私に今度はビクッと身体を震わせる生徒たち。元気なのは良いことだけど、いつまでもお遊び感覚でいるのは困る。

別に上下関係を示したいわけではない。だけど、あえて力の差を見せつけ、わからせる方が良い場合もあるからね。特に、今のこの子たちには効果覿面だろう。

『ふふ』

無事に目的を達成した私は鋭く放った殺気を収め、話の続きを促すように無人に視線を送った。

「この鬼ごっこは突発的なメンバーでも連携をとるための訓練だ。判断力・統率力・決断力を養う」

『こうやって戦いを学び、卒業後、君たちはそれぞれの部隊に入って、最前線で桃太郎機関と戦うことになるの』

「無論、命懸けだ。こんな所で躓く奴は消えてもらう」

生徒たちの顔を見ながら、私と無人は交互に説明を加えていく。かなり厳しいことを言ったけど事実は事実。

実際、多くの生徒が羅刹学園(ここ)から旅立ち、自身の責務を今日も命懸けで全うしている。この子たちだけ例外にするわけにはいかないんだ。

こういう状況に置かれたって事実に早く慣れてもらわないと。

「俺は血を使わないがお前らは好きにしろ。ただお前らが暴走したら俺も血を使う」

シンとした空気の中、今度は片方の人差し指で逆立ち腕立て伏せのようなものを始めた無人。

………いや、さすがに空気読も？時間を効率よく使いたいのはわかるけどさ、今じゃなくてもよくない？もっとこう………ねぇ？いつか生徒たちに引かれるよ。

無人の行動に呆れながらそんなことを考えていたとき、1人の生徒が前に進み出た。

「あんたを殺しちまったら？血ぃ使わない舐めプして向かってくるなら、そーなるぞ？」

先ほどのお返しと言わんばかりの殺気を放ち、強気に出てきたのは黒いマスクをつけた少年。教室であの子と口論になってた子だ。

てっきり、あの少年が一方的に喧嘩を吹っ掛けたと思ってたけど………どうやら、真実は少し違うみたい。

………まったく、この子もなかなかにひねくれているね。私的には面白くて好きだけどさ。