天才時々天災【桃源暗鬼】 (ページ25)

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「それで、君から見てどう？」

『………合格です。今後が楽しみですよ』

「そっか。それならよかった」

私の怒りが治まったのを察してか、校長は私にそう聞いてきた。私が返した言葉を聞き、満足そうに答える校長。

「それじゃあ、2人とも、よろしくねー」

そう言い残して通話が切れ、私は携帯を無人に返す。校長の手のひらの上で上手く踊らされた気がしないでもないけど………やることは変わらないしな。

私は私のできることをする。ただ、それだけだ。

『さて………少し中が騒がしいみたいだけど』

教室内から聞こえてくる声に私と無人は揃って視線を向けた。複数の生徒の声がひっきりなしに飛び交っている。

申し訳程度に立て掛けられた扉から中を覗くと、なぜか鼻血を出している少年の姿が視界に入った。

どうやら、あの子を中心にひと悶着あった様子。まあ、全く関わってなさそうな子も何人かいるけどね。

それにしても………

『羅刹学園(ここ)ってさ、なんであんなに血の気の多い奴らが集まるんだろうね？』

「………自分のことを言ってるのか？」

『ねえ、それ貶してる？？無人も人のこと言えないからね？？』

「俺はお前より落ち着いている」

『いや、どこが！？』

無人の嫌味に反論しつつ、私はもう一度教室の中へと視線を戻す。今度は一番前の窓際の席に座る子と口論になっているようだ。

喧嘩するなって、さっき言ったばっかりなのに………信じたくないけど、本当に脳のキャパがお猪口なのかな？違うよね？

一般教養とかよりも、あの子にはまず感情のコントロールから教える必要がありそうだ。そう何回も暴走されたら困るからね。

『それで？どうするの担任さん。早速、クラス崩壊の危機だけど』

「………」

『ねえ、痛い！痛いって！ギブ！』

先ほど受けた嫌味の仕返しでニヤニヤしながら声をかけると、問答無用で頭を掴まれる。片手で簡単に相手を締めれる奴が落ち着いてるとか、全っ然笑えないんだけど？

『痛た………血の気が多いのはどっちだよ』

「………」

小さく呟いた私の言葉を無視し、生徒たちの様子を黙って見ていた無人。目の前の状況をしばらく静観した後、ゆっくりと口を開けた。

「………少し、わからせる必要があるな」

そう呟くと同時に無人は一瞬で私の前から姿を消す。そんな様子に私は肩を竦めると無人の後に続いて教室内へと足を踏み入れた。