天才時々天災【桃源暗鬼】 (ページ24)

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「何々ー？何があったのー？」

「たまたまですよ」

その後も軽くやり取りを交わす2人。

個人的には無人の「耳衰えたんじゃないですか？」の辺りが面白かったね。あとは校長の「ツンデレだねー」のところもかな。笑い堪えるの必死だったもん、私。

そのおかげで無人には呆れ顔をされちゃったけど。まあ、気にしない気にしない。

『………あれ？』

そういえば、やけに教室内が静かだけど………あの子は大丈夫かな？かなりの勢いで吹っ飛ばされてたからね。怪我してないといいんだけど。

「ところでさー………A君、そこにいる？」

「強く育ててあげてよ」と言う校長の言葉に無人が答えた後、校長は恐る恐るそう聞いてきた。

「いますよ。代わります」

「あー、いや、別に_____」

『こんにちは、校長。まさか、電話を切って逃げる_____なーんていう野暮なこと、しませんよね？？』

無人から携帯を受け取った私は笑顔を浮かべて早口にそう告げる。逃げようたって、そうはいくか。

「A君、怒らないで」

『怒ってませんよ？？私がいつ、校長に対して怒りました？？』

「怒ってるじゃん、今」

電話越しに伝わる圧に少したじろぐ校長。

だけど、絶対悪いとは思ってないんだよね、この人。むしろ、この状況を面白がってる。面白がった上で、そういう演技をしている。

そういうところがちょっと………いや、かなりムカつくんだよな。

「はあ………」

とりあえず、何かを察した様子の無人に私は手を挙げて答えた。ごめんね、無人。後でちゃんと説明するからさ。

『いいですか？今後は事前に説明してくださいね？こっちにも、それなりの準備があるんです。わかりました？』

「うん、わかった」

感情的にならないよう、なるべく丁寧に要点だけを伝えるも、けろっとした態度に頭が痛くなる。

『ちゃんと聞いてます？』

「うん、聞いてる聞いてる」

本当に伝わっているかどうかを確認するも、緊張感のないのらりくらりとした返答だけが戻ってきた。

これはもう、何を言ってもダメなやつだな………仕方ない。私が折れるしかないか。変な上司を持つと苦労が絶えないよ、まったく。