天才時々天災【桃源暗鬼】 (ページ3)

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_____数日後

『ん～、着いたー！』

心地よい潮風を感じながら船に揺られ、ようやく島に辿り着く。久々の船旅はなかなかに悪くなかった。

私は操縦士さんにお礼を告げ、荷物を片手に島へと降り立つ。

『～♪』

ここは本土から離れた島「鬼門島」
通称【鬼ヶ島】

そして、島の中心にあるのが鬼のための学校
【羅刹学園】

この学校は普通の学校とは全く異なり、桃太郎の機関に対抗するための訓練をメインとする、いわば対桃太郎機関専用の軍隊学校。

天然の要塞のように周りを森や崖に囲まれた学校で、お城のように堂々とそびえ立つ姿には久々だからか、ある種の感動を覚える。

『懐かしいな～』

感慨に耽りながら、羅刹学園の正門へと続く細くて長い石橋を渡る。授業中のせいか辺りには人気がなく、石橋と靴の触れ合う音が一定のリズムで響いた。

『………ん？』

周りの景色を眺めるのを止め、ふと前方を見たとき、正門の付近に誰かが立っていることに気づく。

全身を黒の衣装で包み、ローラースケートを履いた長身の男性。手には愛用の仕込み傘。そして、右目の下の特徴的なマーク。

………間違いない。

見知った顔に自然と頬が緩むのを感じた。

『無人！』

手を振りながら私は相手に声をかける。無人は私に気づくと、もたれ掛かっていた身体を起こし、私の方へと近づいてきた。

相変わらず器用だなと思いつつ、再会できた嬉しさに任せ、私は目の前の無人に抱きついた。

『久しぶり～！元気だった？』

「ああ。久しぶりだな、A」

ローラースケートを自由自在に操れるだけあって、バランスを崩すことなく上手に受け止めてくれた無人。

あまり表情を変えない無人の顔に小さな変化を見つけ、いたずら心をくすぐられた私はさらに笑みを深める。

『待っててくれたの？嬉しい。ありがとね』

「………別に、たまたま見つけただけだ」

『あれれ？もしかして、照れてます？』

「照れてない」

『もー、強がんなくてもい_____』

バチン!!

『痛っ！？』

無人の反応が面白くて、ついついからかっていたとき、突然鋭い痛みが襲ってきた。私は慌てて額を抑え、恐る恐る顔を上げる。

無慈悲に私を見下ろす無人の姿がそこにあった。

「調子に乗るな」

『いやいやいや！久々に会った級友にすること！？違うよね！？』

「うるさい。さっさと行くぞ」