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慶ちゃんは、ふう、って大きく息を吐きながら、私の隣に座った。
一人分、あいだを空けて。
「……A眠ってないの？」
「……ううん、寝たよ？たまたま朝早く目覚めちゃっただけ」
「……」
「朝焼け綺麗だなぁ、って見てた」
「……そっか」
「……慶ちゃんこそ、眠れてないんじゃない……？」
「……んー」
「……」
さらさらの何もしてない前髪が、微かな風にすこしだけなびいた。
ああ、だいすきだな、って綺麗な横顔を盗み見する。
少し、痩せたな。
「……ごめんね」
「……何が？どうしたの慶ちゃんてば！」
なんか深刻な空気が怖くて、あは！って笑いながら言ってみる。
慶ちゃんは、こっちを見ないで低い声で言った。
「……うん、ごめん」
ああ、核心をつかないで。
謝らないで。
謝るのは私の方なんだよ。
私の勝手なわがままで、あなたを縛ってごめん。
手を離してあげられなくてごめん。
守ってあげられなくてごめん。
「……私こそ、ごめんね」
「……」
「ごめん、手を離してあげられなくてごめん」
「……何……」
「もうちょっとだけ、そばにいさせてね」
「……」
「だいすきだよ慶ちゃん」
そう言って、つい涙がこぼれちゃうのは、きっと来てしまう「いつか」がどうしようもない速さで近づいてくるのを感じるから。
痛い。
あなたのいない未来はどうしても、生きられる気がしない。
言葉を失った慶ちゃんが、私の左手の先に少しだけ触れる。
「……ごめんね、Aが幸せじゃないなら、きっともうだめだと思っていて」
「……」
もうだめだなんて言わないで。
答えを、言わないで。
お願い。
何でもいいから、もうちょっとだけ。
「……でもごめんね、今もすきでいてくれるなら、もしも俺がAを幸せにできるなら、離せない」
「……」
「ごめんね」
そう言って慶ちゃんの腕が柔らかく私を包んで、優しく優しく抱きしめた。
慶ちゃんしか、できないんだよ。
こんなふうに泣いたり、そばにいるだけで幸せになったりするのは、慶ちゃんだから、なんだよ。
次から次へと涙が出ちゃって、言えなかった。
だいすきだよ。
何があっても。
ひんやりした空気が、涙で火照った頬をなでる。
朝はもうそこまで来ている。
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100toi(プロフ) - 覚えていますとも…大好きな祐くんのお話(泣いてる)。。そしてこの続編…!!祐くんの心遣いが優しい〜染みるぅ〜祐子ちゃんには絶対勝てない〜女として何もかも勝てない〜笑 (2018年6月3日 16時) (
レス) id: fd62881687 (このIDを非表示/違反報告)
かのん - いつも楽しく拝読しております。じぇにーさんのヒロインちゃんとシゲくんの距離感が丁寧で優しくてとっても好きです…これからも楽しみにしております！ (2018年4月30日 14時) (レス) id: 02828cf1cc (このIDを非表示/違反報告)
よねい(プロフ) - ほんっとに最高でした…！！！！素晴らしい作品をありがとう(〃ω〃) (2018年4月1日 0時) (レス) id: 0107b3cdb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：◯じぇにー◯
| 作成日時：2018年4月1日 0時
