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「……まあ、いいけどね」
今更すぎる謝罪に、こうちゃんはふわりと笑う。
「今となっては青春の思い出っていうか、まあ、俺も若かったよなーって。むしろAも気まずかっただろうに、今まで友達でいてくれてありがとうって話だよ」
「……なんかその言い方、今日で友達終わるみたいだね」
「え!? ち、違、ほんとにそんなつもりじゃなくて！ QuizKnock辞めてもAはずっと友達だから！ ほんとに！」
あわあわと否定するこうちゃんの姿が愛らしい。……ああ、本当。
「ずっと友達、じゃ嫌だよ」
「……へ？」
「……こうちゃんが前を向こうとしてる時に、こんなこと言ってごめん」
「え……」
「こうちゃんが好き。大好き」
ざあ、陸風が吹く。
「風やばー……。待って髪バサバサなんだけど……」
わざと他愛ないことを呟く。
「……俺」
「……」
「…………や、まず、ありがとう。本当に嬉しい」
「……っ」
――分かってしまった。声のトーンで、言葉選びで、次に彼が何を言うのか。長年、幼なじみとして集めてきた膨大なデータベースが、彼の次の言動を正確に予測する。
「でも、ごめん」
「……」
「正直、今はそういうこと、考えられない」
「…………」
「前に進むって、決めたから」
分かっていたことだ。全部今更だって。
きっと、両思いの瞬間はあった。どちらかが一歩踏み出していれば、一緒になれた瞬間があった。タイミングが違えば、変な意地を張らなければ、彼の恋心を、否定しなければ。
でもそれは全部たらればで、今私が歩んでいる未来は、どうしようもなく今この瞬間で。手が届きそうなことと、実際に届くことはこんなにも違っていて。
これは報いだ。彼のまっすぐな思いを踏みにじった私への報い。
「……ごめん」
「もういいよ」
「本当に、ごめん」
「なんでこうちゃんが謝るの」
「好きだったくせに、ずっと好きでいられなくてごめん。好きでいるのを、辛いって思ってごめん」
「……」
気付いてたよ。好きな人が苦しんでいることくらい、気付かないわけないじゃん。
気付いていて、それでも応えられないような私だから、こんなに報われなくて、こんなに、こんなに苦しいんじゃん！
「…………っあー！！！！！」
「!? A、何急に叫んで……」
「大好きいいいいいい！」
「!?」
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ユメ(プロフ) - うなぎさん» 引き込まれるなんて嬉しいです！最後まで楽しんでいってください！ (9月26日 7時) (
レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
うなぎ(プロフ) - あと3話で終わってしまうなんて…とっても引き込まれてます！そして考えさせられちゃいます。後悔のないよう、ちゃんと感想を伝えようと思いました。結末を楽しみにしてます！ (9月25日 22時) (レス) id: 794a390090 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - うなぎさん» 夢作家をしていて良かったと心から思えるような、嬉しいお言葉の欲張りセットみたいなコメントをありがとうございます！しかも密かに憧れている作者様からのコメントだなんて、もうこの喜びをどう表現していいものか……。本当に感謝です！ (9月9日 18時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
うなぎ(プロフ) - kwmrさんとfkrさんの掛け合いが楽しいし、ymmtさんは可愛いし、sgさんの誠実さに胸がいっぱいです！読みやすいお話たち、すきです♡お話が増えるの、楽しみにしてます！ (9月9日 15時) (レス) id: 794a390090 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - misakiさん» コメントありがとうございます。どれか1話は、どこかの誰かに刺さるように、という思いで色んな話を書いているので、ぶっ刺さっていただけて大変恐縮です……。ご期待に添えるよう今後も精進して参ります！ (8月28日 7時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユメ | 作成日時：2023年5月15日 3時
