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「……でさあ、乾に予定入っちゃったから、代わりに来てよ」
「別に私、麻雀強いわけじゃないからなあ」
「いいのいいの。どうせ身内でやる緩い大会なんだから、楽しめればそれで」
「……行けたら行く」
「Aの『行けたら行く』は勝率七割だからなあ。肝心な時に外すんだよなあ」
「ぼうふうと同じだね」
「それな」
こうちゃんは時折、こうして私を自分の属するコミュニティに招待することがある。そして大抵の場合、そのコミュニティはほとんど男性で構成されている。
そんなところに私を引き込んで、私が気まずい思いをするかもとは考えないのだろうか。どうも私は、彼に異性として見られていない気がする。
……何だかんだ言いつつ最終的に馴染んじゃう私も、まあ悪いと言えば悪いのかもしれないが。
「ほんと、Aはこういう時誘いやすくて助かるわ」
最後に彼に女性扱いされたのはいつだろう。……多分、高校一年か二年の頃。ちょうど思春期で、周囲からのいじりもピークだったあの頃。
周囲に冷やかされたくないからか、学校では目も合わせなかったあの頃。そのくせ、私が見ていない時にこっちをガン見しているのがおかしかった。家の前で会った時も「元気？」「ぼちぼち」と短い会話を交わすのみだったのに、バレンタインの日に何故かウチのポストに板チョコを滑り込ませてきたこともあった。
「話変わるけどさ、最近仕事どう？ 大変なこととかない？」
「リズム音痴に心配されるようなことは何もないよ」
「ひっど！」
……あの頃、こうちゃんは私が好きだったと思う。自惚れではない。見て見ぬふりもできないくらい、こうちゃんは分かりやすかった。ただ、気付いたからといって私からは特に何もしなかった。
別に、告白は男から、なんて夢見がちなことを思っていたわけではない。もちろん、こうちゃんのことが嫌いだったわけでもない。ただ……恋愛的に好きだったかと言われれば、どうなのだろう。仮にあの頃、こうちゃんから告白されていたとして。私は、どう答えただろう。
……少なくとも、わざわざこちらから行動を起こすほど、「こうちゃんの彼女」という称号に興味を持っていなかった。友人で十分すぎるほど、彼との時間は楽しくて。別にこのままでよくない？ と本気で思っていた。
そうこうしているうちに向こうも第二次性徴期が終わったのか私とのちょうどいい距離感を見つけたのか、いつの間にか普通に同性の友人のように接される状態に戻っていた。
「Aほんと辛辣だよね」
好意が無い方が近くにいられるなんて、皮肉な話だと思う。
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ユメ(プロフ) - うなぎさん» 引き込まれるなんて嬉しいです！最後まで楽しんでいってください！ (9月26日 7時) (
レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
うなぎ(プロフ) - あと3話で終わってしまうなんて…とっても引き込まれてます！そして考えさせられちゃいます。後悔のないよう、ちゃんと感想を伝えようと思いました。結末を楽しみにしてます！ (9月25日 22時) (レス) id: 794a390090 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - うなぎさん» 夢作家をしていて良かったと心から思えるような、嬉しいお言葉の欲張りセットみたいなコメントをありがとうございます！しかも密かに憧れている作者様からのコメントだなんて、もうこの喜びをどう表現していいものか……。本当に感謝です！ (9月9日 18時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
うなぎ(プロフ) - kwmrさんとfkrさんの掛け合いが楽しいし、ymmtさんは可愛いし、sgさんの誠実さに胸がいっぱいです！読みやすいお話たち、すきです♡お話が増えるの、楽しみにしてます！ (9月9日 15時) (レス) id: 794a390090 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - misakiさん» コメントありがとうございます。どれか1話は、どこかの誰かに刺さるように、という思いで色んな話を書いているので、ぶっ刺さっていただけて大変恐縮です……。ご期待に添えるよう今後も精進して参ります！ (8月28日 7時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユメ | 作成日時：2023年5月15日 3時
