60.間違いと後悔 ページ22
「……自分がAさんのファンだって認めたらさ、一生、
なあ伊沢、ファンの立場で恋するのは、やっぱり不健全だろうか。間違っているのだろうか。Aさんはそんな不誠実な感情、受け入れてくれないのかな。だからあの人は、俺から逃げたの？
「福良さん……」
俺は……俺はさ、怖いよ。この気持ちを、俺を安眠に誘って、心をときめかせて、笑顔にさせてくれるこの美しい感情を、間違いにしてしまうのが。自分で台無しにしてしまうのが。
ファンでも何でもない、ただの視聴者ないし共演者の関係なら、少なくとも俺の抱いてた感情が間違いと指摘されることもなかったのに。……なんで、一歩踏み出してみようだなんて思っちゃったんだろう。
「……あの、福良さん」
「馬鹿なことしたよね。俺はAさんの裾を掴んだあの時、共演者からただの厄介ファンに身を落としたんだ。本気で恋愛してもいない癖に軽率に好きだなんて口にして、何の努力もしないで漠然と恋人になれたらいいな、なんて妄想するような人たちと同じ、どうしようもない人間だ」
「福良さ……」
「そこまでして掴んだものも、こうしてあっさり手放しちゃうしさ。何やってんだろ本当に……」
「福良さん！！」
「うわ、何急に大声出して」
大声に驚き、反射的に伊沢から距離をとる。伊沢は同じだけ距離を詰めてくる。
「……別によくないですか？」
「え、何が？」
「だから、別に福良さんの好きがファンとしての好きでも、問題なくないですか？」
「は？」
「いや、根本的な話として、ファン感情だろうが恋愛感情だろうが、好きは好きでしょう。そこに貴賎はなくないですか？」
「何言って……」
「福良さんは難しく考えすぎなんですよ」
はあー、と長いため息をつき、呆れたような表情で頭を搔く伊沢。
「……別に、いいじゃないですか。ただのファン感情でも、憧れでも羨望でも、福良さんがAさんを必要としたって、その揺るぎようのない事実があれば、それで。きっかけとなった感情がファン感情だろうが恋愛感情だろうが、綺麗だろうが汚かろうが、関係なくないですか？」
伊沢は笑顔で言う。動画で受験生を応援する時みたいな、俺が着いてるぞ、って感じの、見ているだけで安心しちゃうような、あの笑顔だ。
「俺は、福良さんを笑顔にしてくれたその感情が間違いだなんて思いませんよ。……Aさんだってきっと、そんなことは思わないはずです」
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ユメ(プロフ) - 葵さん» うわー再びのコメント本当にありがとうございます！こちらこそ優しい読者様に出会えて本当に幸せです！続編執筆頑張ります(`･ ω･´)ゞﾋﾞｼｯ!! (2023年4月28日 19時) (
レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 連載執筆お疲れ様でした。最後まで読ませて頂きました。終始2人のもどかしい関係にｷｭﾝｷｭﾝしっぱなしでした。素敵なお話に出会えて良かったです。続編の構想あるとの事でそれも楽しみにしております、応援してます！ (2023年4月28日 7時) (レス) id: 23323e631d (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - 葵さん» fkrさんファンの方に刺さる作品を書けていることがとても誇らしいです。kwmrさんのいい仕事してるという評価も嬉しいです。2人とも大好きなだけに、私の実力でちゃんとかっこよく描写できているか不安だったので……(笑) (2023年3月25日 9時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - fkrさんに沼っていてお話が本当に続きが気になります。文章も読みやすくて夢主のキャラ設定もよくてkwmrさんがいい仕事してて…とっちらかってますがとにかくこの連載が大好きです。更新を心待ちにしています。 (2023年3月24日 23時) (レス) id: 23323e631d (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - はこさん» コメントありがとうございます！そのお言葉でこちらも感情というか、涙腺をぐちゃぐちゃに刺激されてしまいました(笑) 今後も読者様の応援に報いられるような話を投稿していけたらと思います。頑張るぞ！！ (2023年3月23日 21時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユメ | 作成日時：2023年2月28日 19時
