56.答えと根拠 ページ18
「……」
『お世辞まで言わせてしまったという事実に軽い自己嫌悪に陥る』
『自分が情けなくて仕方なかった』
『また会話を途切れさせてしまった』
『配信だとうまく喋れるのに、この人の前だと何もかもうまくいかなくて』
「…………無理、でした。自信家で努力家で、みんなに愛される『YouTuberのA』を、
「そうですか。……ついでだから、もう一素人いいですか？」
「何なんですかその単位。…………まあ、どうぞ」
「福良は、チャンネル登録者200万人を背負うに相応しい振る舞いができていましたか？ ちゃんと、かっこよかったですか？」
「え……」
予想外な、突拍子もない質問。私は一瞬固まる。2、3回大きく瞬きをして、どう返すべきか考えながらゆっくりと口を開いた。
「ん……と、ふくらさん歩くの早いせいで私足捻ったし、方向音痴なくせに地図アプリに頼らなかったせいで案の定迷子になるし、コース料理の野菜に悶絶するし、緊張のせいかちょいちょい空回ってるし」
「はい」
「だから最初の質問の答えは多分ノー、なんですけど……」
「……けど？」
「……そういう失敗の根っこにある優しさとか真摯さとか、そういうのをかっこいい、って思える感性は持ち合わせているつもりです」
「…………いい趣味、してますね」
河村さんは笑った。満足げに。
「福良も同じように思ったから、貴女を引き留めたんじゃないですか？
「……あの人は、私の本性を知らないからあんなことができたんです。今の私の話を聞いたら、あの人だって私に失望……」
「しませんよ」
「適当言わないでください！」
「適当じゃないです。ちゃんと根拠があって言ってます」
河村さんは私をまっすぐ見つめる。私はきまりが悪くて目を逸らす。
「……根拠、って」
「貴女と福良は、よく似ています」
「…………それだけですか？」
「それだけですが」
「……」
あまりにいい加減な答えに、思わずはぁー……と大きなため息が出た。河村さんはそんな私をちらりと見てカバンからスマホを取り出し、タタタッと素早く操作する。どうやらどこかに電話を掛けたらしく、数回コール音が鳴る。それが止むと河村さんは通話相手と何やら小声で少し話してから机の上にスマホを置いた。
「あの、これは？」
「後で福良に滅茶苦茶怒られるでしょうけど。……それでも、貴女は知るべきです。自分がどれだけ福良に愛されているのかを」
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ユメ(プロフ) - 葵さん» うわー再びのコメント本当にありがとうございます！こちらこそ優しい読者様に出会えて本当に幸せです！続編執筆頑張ります(`･ ω･´)ゞﾋﾞｼｯ!! (2023年4月28日 19時) (
レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 連載執筆お疲れ様でした。最後まで読ませて頂きました。終始2人のもどかしい関係にｷｭﾝｷｭﾝしっぱなしでした。素敵なお話に出会えて良かったです。続編の構想あるとの事でそれも楽しみにしております、応援してます！ (2023年4月28日 7時) (レス) id: 23323e631d (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - 葵さん» fkrさんファンの方に刺さる作品を書けていることがとても誇らしいです。kwmrさんのいい仕事してるという評価も嬉しいです。2人とも大好きなだけに、私の実力でちゃんとかっこよく描写できているか不安だったので……(笑) (2023年3月25日 9時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - fkrさんに沼っていてお話が本当に続きが気になります。文章も読みやすくて夢主のキャラ設定もよくてkwmrさんがいい仕事してて…とっちらかってますがとにかくこの連載が大好きです。更新を心待ちにしています。 (2023年3月24日 23時) (レス) id: 23323e631d (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - はこさん» コメントありがとうございます！そのお言葉でこちらも感情というか、涙腺をぐちゃぐちゃに刺激されてしまいました(笑) 今後も読者様の応援に報いられるような話を投稿していけたらと思います。頑張るぞ！！ (2023年3月23日 21時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユメ | 作成日時：2023年2月28日 19時
