7話 ページ8
「って、ことで、じゃあ…」
らっだぁさんがこちらを見た。シロとクロにレウさんのところに行ってねと伝えれば名残惜しそうに足を離して飛んでいく。
ラピスラズリの瞳を見つめる。他の4人は彼の言葉を待っているようだった。
「えー…Aちゃんにはぁ……俺ら運営のメイドになってもらいます!」
「…?」
「まてまてまておいこらハゲ、説明の仕方やろ」
「ラダオクンサイテー」
「もっと言い方どうにかなったよなぁ?!」
「メイドさんかぁ…」
阿鼻叫喚、罵詈雑言。慌てる3人と頷くコンタミさん、あれぇ?なんて笑うらっだぁさん。どういうことかイマイチ理解できない私が悪いのかもしれないけれど、メイド。メイドさん。メイドさん?
「あの、どういう…?」
「ほらAちゃん分かってないじゃん!」
「えー??俺が悪ぃってのかぁ?」
「完全お前のせいやハゲ」
きょーさんに襟を掴まれるらっだぁさんがけらけらと楽しそうに笑うのがおかしくて、笑ってしまう。あぁだめだ、笑っちゃダメなのに。けど笑いたくて仕方ない。
「ん、ふふ…なんですか、それ、説明になってない…ふふ…」
「Aちゃん笑った!はい俺の勝ち〜」
「勝負してないよらっだぁ」
笑ったからって叩かれる訳でもない。この場所は本当に暖かい。一通り笑って、らっだぁさんの方を向く。説明をしてくれないと分からない。
「…んー、なんて言うか。えっとねぇ…俺ら5人で運営って名乗ってて。この街の管理人的な?」
「なるほど…?」
「俺ら以外にも沢山人はいて、ら民って呼ばれてるんだけど。とりあえずAちゃんのこと見ときたいというか…」
言い淀むらっだぁさんの後ろからコンタミさんが出てくる。にこにことしたまま補足をするように言葉を紡いだ。
「監視って言ったら、言い方が悪いけど、Aちゃんが勝手にどっか行かないようにしときたいんだ」
勝手に死なないでね、と付け足されたその言葉に頷く。勝手に死なない。というより、死にたくても死ねないこの状況で死のうとする方が難しい。
「…勝手に1人にならないこと。この街に来た以上、Aちゃんは俺の街の住人だから」
らっだぁさんの言葉は、私にとって十分すぎる存在証明だ。
「ありがとう、ございます…」
頭を下げてお礼を言う。らっだぁさんは、眩しいくらいの笑顔だった。
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クリーム煮(プロフ) - うるさん» コメントありがとうございます、とても嬉しいです。かなり遅くなりましたが、短い話を更新させて頂きました。ゆっくり更新ではありますが、これからもよろしくお願い致します。 (2021年2月6日 7時) (レス) id: b4b4f8ee5a (このIDを非表示/違反報告)
うる - とってもこのお話、好きです!もっと続けて欲しいです…また更新される日は来るのでしょうか?無理にとは言いませんが出来るだけ早く更新されるのを楽しみにしています! (2021年1月23日 21時) (レス) id: 82c88543dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クリーム煮 | 作成日時:2020年11月24日 21時