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13話 ページ16

ついででもあるので、ホールの掃除をする。綺麗なところではあっても、隅に溜まった埃は避けられない。コンタミさんも手伝ってくれて、ある程度片付いた。
机に座り、紅茶を飲んでいると、ふとコンタミさんが、声を出した。

「俺の絵って見た事ある?」
「…いえ、ないと思います」
「廊下に飾りたかったんだけど、らっだぁがやめとけって言うんだ。コンちゃんの絵はちょっと特殊だからって。Aちゃんなら、感想くれるかな?」

機械から出したスケッチブックをパラパラとめくり始める。特殊とはどういうことなのだろう。
あった!とにこにこしながら見せてくれたそれは。

「…どうかな?」
「…とても、素晴らしい絵です。丸い目がかわいいですね」
「ほんと?!嬉しいなぁ…」

青い身体に黒い目、赤と黄色がその姿を更に締めている気がして。何にも言い難い恐怖心と、もっとこの人の絵がみたいという好奇心。これは、だめだ。

「…けど、廊下に飾ると汚れてしまう可能性があります。絵を飾る用の部屋を用意してはどうでしょう?」
「なるほど、いい考えだね!ありがとう、らっだぁに提案してみるね!」

ほっと息をつく。嬉しそうに走っていくコンタミさんにお辞儀をして、目をつぶった。
この街の、この館の平和はとりあえず何とか守れたかもしれない。
彼の絵は素敵だからこそ、廊下に飾ってしまったらどうなるか分からない。私だから平気なのか、それすらもまだ分からないから。

「…改めて…この街はかなり……凄いのかもしれない」

思い出したかのように呟いた声は一人しかいないホールに響いた。

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クリーム煮(プロフ) - うるさん» コメントありがとうございます、とても嬉しいです。かなり遅くなりましたが、短い話を更新させて頂きました。ゆっくり更新ではありますが、これからもよろしくお願い致します。 (2021年2月6日 7時) (レス) id: b4b4f8ee5a (このIDを非表示/違反報告)
うる - とってもこのお話、好きです!もっと続けて欲しいです…また更新される日は来るのでしょうか?無理にとは言いませんが出来るだけ早く更新されるのを楽しみにしています! (2021年1月23日 21時) (レス) id: 82c88543dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クリーム煮 | 作成日時:2020年11月24日 21時

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