B組 - 184 ページ34
羨ましい個性?……【洗脳】だって、良い個性じゃないか、と私は思う。
ただ返事をしたらまた身体が動かなくなることは分かっていたので、返事はしない。
「……おい、無視かよ?」
要は彼の言葉に返事をしなければいいのだ。
少しの間の後、私は口を開く。
「心操くん、だよね」
「……」
「体育祭の時は残念だったね。でも、良い戦いだったと思うよ」
握手を求めるように手を差し出す。彼ーー心操くんは私の手を見つめ、「は?」というように私を見下ろした。
「私はあなたの個性も素敵だと思う。……自分がやられるのは、ちょっと嫌だけど」
その手が空振りしていることは気にしずに、そのまま手を差し出したままクスッと目尻を下げる。
心操くんが嫌な子じゃないってことは体育祭を見ただけでも分かった。
だから、どうせなら仲良くなりたかった。
変わらず笑っている私に、彼は怪訝そうな顔をする。
「……バカかよ」
「なっ、バカってなんーー?! 」
「 " そのまま教室に戻れ " 」
まんまと乗せられてしまい、足が教室方向に向かおうとする。また死滅化させなきゃなんないのか、あれ結構痛いんだぞ!と思ったが、
不意に足が自分の意思で動くことに気づく。
多分、私が踵を返す瞬間だけ個性をかけたのだ。バッと振り返り、案の定 背を向けて歩き出した心操くんに駆け寄り、制服の袖を掴む。
「友達になろう?」
「……しつこい」
首を捻って背を向けたまま視線だけ私に下ろす心操くん。
「なんでそんなに俺にかまうんだよ。……仕掛けたのは俺だけどさ」そう言って紫の髪を搔きまわす。「あー、根に持ってんなら謝る。ごめん、からかった」
さっきまで大きな態度を取っていたのに、急に謝るなんて。もしかしたら押しに弱いのかもしれない。
きっとこんなこと言ってるけど根は良い子なんだろうな、と思うと少し微笑ましくなって、笑みを零す。
「そうじゃなくてさ、普通に!友達になりたいの!素敵な個性のあなたと」
ね?と手を差し出すと、褒められることに慣れていないのか耳を赤くしながら少しそっぽを向いて「……個性目当てかよ」と呟く。
慌てて「なっ、そういうことじゃないでしょー!」と否定すると、心操くんはブハッと吹き出した。
初めて見る笑顔にぼーっとする私の中を彷徨う手が握られる。
「ま、ヒーロー科のやつに知り合い作っても悪いことはないしな」
「……素直じゃないな」
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The ヒロイン!!
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勝天Runa - とても面白いです!更新頑張ってくださいね!!応援してます!!勝己サイコーー!! (2021年4月10日 9時) (レス) id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - 185話で夢主が響香ちゃんと話してるところのたくさんがた区さんになっていましたよ! (2017年11月9日 16時) (レス) id: 36c513e4d9 (このIDを非表示/違反報告)
誰かの裏垢(プロフ) - さっこさん» 物間くんきっと礼儀はあるはずですから!!!わぁ!!嬉しいです!ありがとうございます〜! (2017年9月8日 18時) (レス) id: b66bb8ed30 (このIDを非表示/違反報告)
さっこ(プロフ) - ご馳走さまに心打たれましたシリーズ最初から影ながらずっと応援させてもらってます(>_<) (2017年9月8日 18時) (レス) id: 7b42043074 (このIDを非表示/違反報告)
誰かの裏垢(プロフ) - 初音さん» ありがとうございます!^^ (2017年9月7日 21時) (レス) id: b66bb8ed30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:誰かの裏垢 x他1人 | 作成日時:2017年8月29日 17時