B組 - 165 ページ15
出久くんはそう言って笑ってくれる。
優しいなぁ……と安心する私だが、歩くたびにゆさゆさと出久くんに押しつけられる柔らかい肉の塊に彼が「 ( お、お、お、おおおおッ?! ) 」と混乱していることは、もちろん知らない。
「出久くんと、爆豪は……早かったね。だいじょ、うぶだっ、た？」
「へっ？あ、うん！オールマイトはもちろん強かったし、かっちゃんにも色々とやられたけど、でもさすがに期末テストだったし……協力してくれた、っていうか……」
「そっか……よかったね」
力なくへにゃりと笑うと、出久くんは少し頬を赤らめて「うん」と頷く。
「Aさんも、すごかったよ！先生を相手にあんな対等に闘えるなんて……」
「ううん、全然対等なんかじゃないよ」目を輝かせる出久くんに、苦笑を見せる。「たまたま周りが暗闇で、二人いて、ハンデもあって……普通の街じゃ負けてたもん」
「それでも、今回は勝ったじゃないか!! 」
俯いていた顔を上げた。
出久くんの目には強い光を灯しているようだった。
「どんな条件でも、勝ったっていう事実は変わらない。Aさんはすごいよ」
思わずぼーっとしてしまう。出久くんはその後自分の言ったことに気づいて「ぼっ、僕が偉そうに言えることじゃないんだけどっ」といつものようにおどおどしながら付け足す。
そんな姿に私は ふふ、と笑みを零す。
「うん、私勝ったよ。ありがとう、出久くん」
出久くんは強いなぁ。
出久くんは「うん」と笑った。
.
「それじゃあ、お大事にね」
「うん、ありがとね」
保健室に入ると、当然のように誰もいなくて。出久くんに手を振ってから、ふぅ、と息を吐く。
隣のカーテンが閉まっているのは、爆豪だ。
声もしないし、まだ眠っているのだろう。
手を握ったり開いたりしてから、天井の電球を隠すように手をかざす。活動時間が短かったから、もう身体が軽くなってきている気がする。
しばらく安静にしていたのだが、何となくもう治ったような気がして上半身を起こす。
……まぁ、キャパオーバーといっても全身の過労による貧血に似たような状態だから、そんなに時間はかからない。
私ももう戻ろうかな、とサンダルを履こうとした時、不意に 白いカーテンが目に入る。
「爆豪、起きてる？」
……
返事はない。
やはりまだ寝ているらしい。
.
文字数の関係で次いきます。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 660人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
勝天Runa - とても面白いです！更新頑張ってくださいね！！応援してます！！勝己サイコーー！！ (2021年4月10日 9時) (
レス) id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - 185話で夢主が響香ちゃんと話してるところのたくさんがた区さんになっていましたよ！ (2017年11月9日 16時) (レス) id: 36c513e4d9 (このIDを非表示/違反報告)
誰かの裏垢(プロフ) - さっこさん» 物間くんきっと礼儀はあるはずですから！！！わぁ！！嬉しいです！ありがとうございます〜！ (2017年9月8日 18時) (レス) id: b66bb8ed30 (このIDを非表示/違反報告)
さっこ(プロフ) - ご馳走さまに心打たれましたシリーズ最初から影ながらずっと応援させてもらってます(>_<) (2017年9月8日 18時) (レス) id: 7b42043074 (このIDを非表示/違反報告)
誰かの裏垢(プロフ) - 初音さん» ありがとうございます！^^ (2017年9月7日 21時) (レス) id: b66bb8ed30 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：誰かの裏垢 x他1人 | 作成日時：2017年8月29日 17時
