放送開始３ ページ31
夜、
ダンス帰りの豆ちゃんが家に会いに来てくれた。
第一声は
「どうだった？」
だった。
しっぽをフリフリしながらご褒美を待っている
柴犬のような表情をしていた。
なんとなく意地悪したくなって
「何が？」
と聞いたら
しゅんと耳をたれさげたような表情になった。
「うそうそ。
かっこよかったよ。」
と言うと
パァァーと表情が明るくなって
またご機嫌になったようだった。
「良かった。
一番反応が気になってたから。」
豆ちゃんはくしゃっと笑って
安堵の表情を浮かべた。
「豆ちゃんが本気で歌ってるの初めて聞いた。
上手いね。」
と言うと、
「具体的に言われると
やっぱ恥ずかしいかも。」
と照れだして、なんか表情が忙しそうだった。
「豆ちゃん、本当に芸能人になったみたい。」
私がそうつぶやくと
「芸能人じゃないよ。」
とちょっと悲しそうに言った。
９月も後半なのに
まだまだ蒸し暑い。
でも秋の香りもほんのり漂ってきて
切なさが加速される。
私はここ数日、
常に感情にフタをしていた。
何かに触れたら溢れ出してしまいそうだった。
平然を装った。
私が無表情なのに気づいたのか
豆ちゃんは私の手に触れた。
しかし、
パッと
私は何故か豆ちゃんの手を振り払ってしまった。
豆ちゃんは少しびっくりした表情をした。
「ごめん。」
私は横を向いて、謝った。
私は感情を揺さぶられたくなかった。
「何か言って。
聞くから。」
豆ちゃんがちょっと不機嫌に言った。
私は声を出したくなかった。
感情が胸までこみ上げてきた。
「俺はそういう顔をさせたくて
オーディションに出てるわけじゃないよ。」
豆ちゃんは私を見つめていた。
「違う。
動揺してるだけ。」
「何で動揺してるの？」
「わからない。」
豆ちゃんは頭をかいた。
「俺は今まで通りのAでいてほしい。」
豆ちゃんは立ち上がって
自転車の方へ向った。
私は豆ちゃんのシャツの裾を引っ張って
「応援してるよ。」
と力なく言った。
鼻をすすらないように必死だった。
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ののん(プロフ) - saorisaori630さん» 友だち申請、コメントありがとうございます！長い小説なのに時間割いて頂いてありがとうございます（TT)ファイナルもぜひ最後まで読んで下さいね！ (2020年2月27日 0時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
saorisaori630(プロフ) - はじめして！すごく素敵な小説でつい一気読みしちゃいました！笑ファイナルも是非読まさせて頂きたいです！友達申請しました(^^) (2020年2月26日 8時) (レス) id: 4b2dde0f96 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - ちぇりさん» コメントありがとうございます(^^)面白いと言っていただけると安心ですし、やる気が出ます！！ファイナル編もよろしくお願いいたします☆ (2020年2月24日 19時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
ちぇり(プロフ) - はじめまして！この作品を見つけて、おもしろすぎて一気に読んでしまいました！(^^)ファイナル編も楽しみにしてます！頑張ってください！！ (2020年2月21日 8時) (レス) id: 9cc5cf3336 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - コメント、友だち申請ありがとうございます！がんばります(^^) (2020年2月16日 21時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年1月19日 0時
