放送開始２ ページ30
放送の次の日の教室は豆ちゃんの話で持ちきりだった。
豆ちゃんのどこがすごかったかとか
如何にかっこよかったかとか。
すでにクラスメイトたちは
芸能人の話をしているかのような話しぶりだった。
私はなんとなく居心地が悪く感じて、
そっと教室を抜け出した。
合唱の練習中だった。
ピアノの練習しなきゃと
中庭へ出てベンチに座って
楽譜を目で追いながら
鍵盤を叩くように指を動かした。
指では「変わらないもの」を弾こうとしているのに
昨日の豆ちゃんが踊っていた曲が頭から離れなかった。
私は、はー、と大きなため息をついた。
「伴奏嫌なん？」
鶴房くんだ。
私が教室を出ていったのを見て
追いかけてきたらしい。
「嫌じゃないよ。別に。
集中出来ないだけ。」
「豆のことで？」
私は鶴房くんを一瞥して
また楽譜に視線を落とした。
「そりゃ彼氏があんなテレビに出たら
動揺するよな。」
彼氏？
「なんで知ってるの？」
誰かがリークしたのかと不安になって
鶴房くんを訝しげに見つめた。
「いや、俺が気づかんかったら
鈍すぎやろ。
俺が前原のこと好きやと思ってた時の
豆の顔、今思い出しても笑えるもん。
大丈夫。
誰にも言わんから。
今言ったら前原も豆もヤバい。」
鶴房くんには気づかれてしまっただけだった。
疑ってみんなごめん。
私はマネージャーになった経緯を思い出して
ちょっと顔を赤くした。
「投票はしたん？」
私は鶴房くんの質問に対して答えられなかった。
「俺は申し訳ないけど
豆に投票した。」
申し訳ないけど。
って
何で鶴房くんが申し訳ないんだろう。
私の気持ちを分かっているのかな。
意外と鋭い。
私もちゃんと豆ちゃんに投票した。
投票開始になった途端に
投票ボタンを押した。
応援するって約束したから。
でも投票ボタンを押すのは辛かった。
投票ボタンを押すたび
豆ちゃんはデビューに近づいていく。
同時に今まで隣にいた豆ちゃんが
一歩一歩私から離れていく。
なんて残酷なシステムなんだろうと思った。
「私も豆ちゃんにに投票したよ。
応援するって決めたから。」
と笑顔を作って鶴房くんに言った。
すると鶴房くんは
「そっか。」
と言って横でまた合唱の練習を始めた。
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ののん(プロフ) - saorisaori630さん» 友だち申請、コメントありがとうございます！長い小説なのに時間割いて頂いてありがとうございます（TT)ファイナルもぜひ最後まで読んで下さいね！ (2020年2月27日 0時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
saorisaori630(プロフ) - はじめして！すごく素敵な小説でつい一気読みしちゃいました！笑ファイナルも是非読まさせて頂きたいです！友達申請しました(^^) (2020年2月26日 8時) (レス) id: 4b2dde0f96 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - ちぇりさん» コメントありがとうございます(^^)面白いと言っていただけると安心ですし、やる気が出ます！！ファイナル編もよろしくお願いいたします☆ (2020年2月24日 19時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
ちぇり(プロフ) - はじめまして！この作品を見つけて、おもしろすぎて一気に読んでしまいました！(^^)ファイナル編も楽しみにしてます！頑張ってください！！ (2020年2月21日 8時) (レス) id: 9cc5cf3336 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - コメント、友だち申請ありがとうございます！がんばります(^^) (2020年2月16日 21時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年1月19日 0時
