..... ページ35
暗がりの夜道を
手元のペンライトが照らす。
細道がひらけ、
暗闇に運動場が現れる。
中心にはキャンプファイヤーが
パチッパチッと音を立てて
メラメラと燃えている。
端っこでは純喜や若手の先生たちが
すでに花火を種類ごとに分け、
準備していた。
花火だけでなく、
ラムネやジュースなど
飲み物もふんだんに用意されている。
運動場に踏み入れると、
みんな楽しそうにキャッキャ言いながら
純喜たちの元へ走った。
クラスごとに並び、
一通り先生からの説明を受けてから、
一人一人に花火が配られた。
Aの手には余るぐらいの量だった。
端っこに立てられた蝋燭で火を付けると
パチパチと音をたてながら、
鮮やかな光が広がった。
佳奈美も火を付けた途端、
きゃーと興奮して足をバタバタさせた。
「ヤバイヤバイめっちゃキレイ！！」
「ほんまに。
めっちゃ青春」
拓実が久しぶりにふふふっと
楽しそうに笑った。
「みんなで写真撮ろう！」
佳奈美の掛け声で
拓実と祥生とAが集まった。
４人の花火を集めると、
より明るい光を放った。
佳奈美が片手でパシャパシャと
連写する。
#青春
#今年はじめての花火
そんなタグ付けして
SNSにアップするんだろう。
Aはぼんやりと
佳奈美の携帯を見つめて
もくもくとあがる煙に咳をした。
徐々にAの手から
花火が減っていく。
「うわ。花火なくなった。」
佳奈美が手のひらをヒラヒラと振った。
「佳奈美ちゃん、ないん？
私のあげよか？」
「いいよ。
祥生とサイダーでも飲みに行こうかな。」
「いいけど。」
祥生もちょうど花火がなくなったようだ。
佳奈美が祥生の腕をつかみ、
引っ張っていく。
佳奈美が振り返り、
拓実にウインクをする。
拓実がこらえきれずに
笑った。
Aはその拓実の表情を見て、
ふいっと視線を伏せた。
二人きりになった。
パチパチと鳴っていた花火の火が消えた。
最後の花火だった。
花火は手元になくなった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 359人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「JO1」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ののん(プロフ) - carryさん» お返事遅くなりすみません(T_T)お読みいただき、ありがとうございます。パスワードはjuntakuです(^^) (2021年9月12日 16時) (
レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)
carry(プロフ) - とても面白くて一気に読んじゃいました。続きのパスワードを教えていただくことはできますでしょうか？ (2021年9月7日 23時) (レス) id: def8c9f4b6 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - nanaさん» コメントありがとうございます！海のところは私も書きたかったところなので、褒めていただけて嬉しいです！これから辛い展開になりますけど、どうか最後までお付合いいただけると嬉しいです(T_T) (2021年6月18日 0時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
nana(プロフ) - 海の帰りの車の中のシーンめちゃくちゃドキドキしちゃいました(泣)純喜くんも川西くんも動き始めて、どきどきの展開です(泣)毎話面白いお話をありがとうございます、これからも楽しみにしています！ (2021年6月15日 15時) (レス) id: eaa2ab5b8c (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - クミさん» コメントありがとうございます(^^)更新待っていて下さる方がいるのは嬉しいです！頑張って最後まで書きますのでお付合い宜しくお願いします！！ (2021年6月13日 0時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ののん
| 作成日時：2021年5月4日 18時
