..... ページ7
だから、
移動教室の途中、
突然純喜が
「A！」
と声を掛けてきたときには、
さすがにAは目を丸くした。
「最近どうや？
拓実と上手くやってるか？」
「純喜くん。
その聞き方、普通にセクハラやで。」
Aの隣を歩いていた瑠奈が
純喜を正した。
「いや、ちゃうやん。
俺、拓実のこと心配してんねん。
あいつホンマに数学壊滅的やんか。
Aは数学得意やし、
付き合ってるんやったら
教えてあげて欲しいなと思ってんけど。」
「Aと拓実、付き合ってへんで。」
ぽかんとしているAの代わりに
瑠奈が答えた。
「あ、そうなん？」
純喜が意外そうな顔をした。
「拓実が毎日のように
『Aが、Aが』て言うてるから
てっきり付き合ってるんかと思ったわ。
すまん。」
Aは、拓実を通してとはいえ、
純喜が自分の名前を知っていたことが
意外だった。
別に担任でもない。
ただの数学を担当する先生。
しかも数�兇世院�
4月に初めて純喜の授業を受けた。
自分はそんな
名前で呼ばれるような関係だったか。
授業中に目が合ったことがあるかすら
わからない。
確かに、
純喜の言うとおり
拓実は自分のことを『A』と
呼んでいた。
自分への呼び方がいつの間にか
『大月さん』から『A』に
変わっている。
でもそれは、
純喜が自分を『A』と呼ぶのを聞いて
初めて気がついた。
純喜から連呼される『A』という音には
それだけインパクトがあった。
胸が留まるものがあった。
その気持ちが嬉しいのか嫌なのか
極端に位置する二つの感情のうち、
どちらに振れているのかすら、
A自身もよくわからない。
「ホンマ純喜くん、
そういう話好きやんな。」
「ちゃうわ。俺は拓実を心配して…。」
「先生、何歳ですか？」
ふとAが、純喜に尋ねた。
「Aまでそんなこと言うんかいな。」
純喜はAまでもが
自分を馬鹿にしているような気がして
悲しそうな顔をした。
「うわ、出た。おでんくん。」
「おでんくん、ちゃうわ！」
違う。
Aは単純に
純喜の年齢を知りたくなった。
「永遠の17歳やもんな？」
「アホか。それやったら、
お前らより年下やんけ。
26や。26。」
河野純喜。26歳。
Aは頭の中で繰り返し呟いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 389人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「JO1」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ののん(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます！色々あれやこれや悩んで試行錯誤しながら書いておりますので、そう言っていただけると、本当に励みになります！りんさんのコメント読んで嬉しくてニヤけちゃいました笑 (2021年4月29日 1時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - こんにちは。瑠姫くんの12時〜シリーズからののんさんのお話のファンになったのですが、このお話ほんっっっとに好きです､､､。本物の小説を読んでるみたいにドキドキしてしまいます。いつも素敵な物語をありがとうございます(T^T) (2021年4月28日 1時) (レス) id: a55fc0b198 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - はっぱさん» コメントありがとうございます(^^)全部読んでくださったんですか？ありがとうございます(T_T)期待に添えるお話を書けるかどうか不安ですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです! (2021年3月31日 23時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
はっぱ - ののんさんのお話全て読ませていただきました！今回も推しの純喜くんが出るのでさらに楽しみです！ (2021年3月31日 13時) (レス) id: ede0d803b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ののん
| 作成日時：2021年3月28日 23時
