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Aがポワンと光が浮かぶカーナビに
目を向けた。
21時数分前。
ハザードランプが
静かな街をオレンジ色に照らす。
警告色。
こんな時間に
純喜と二人きり。
このまま、
純喜の手の温もりを求めて、
レバーに置いた手に自分の手を重ねたら、
どんな反応をするだろう。
Aは想像する。
同窓会なんて行かないで、
このままもう少し、なんて言ったら、
ちょっとはこっちに振り向いてくれるのかな。
純喜がAの言葉を待って、
見つめている。
Aは純喜の目の前で
純喜とその先を行く想像をする。
純喜はきっと気づいていない。
その背徳感が
余計にAの心を高ぶらせる。
でも、
熱い人間、
教育熱心、
正義感にまみれた男が
到底受け入れてくれるとは
Aには思えなかった。
純喜の瞳は
Aには純粋すぎた。
自分よりよっぽど子どもじゃないか、
Aはふっと微笑んで、
ドアを開けた。
「なんでもないです。」
「何やねん。気になるやんけ。」
純喜は手を引こうとしたが、
Aはスッとすり抜けた。
「ううん。何もないよ。
バイバイ、純喜くん。」
Aがニヤッと笑って
ドアをバタンと閉めた。
颯爽と車の脇を歩いて行く。
「あいつ、純喜くんて…。
ナメとんな、マジで。」
純喜はサイドミラー越しに
消えゆくAの後ろ姿を
最後まで見送った。
Aは一度角から覗き込んで、
純喜の車が発進するのを見届けた。
再び歩き出す。
電柱から生える街灯が
Aの背中を照らす。
純喜の車は純喜の香りがして、
まるで包み込まれているようだった。
何かがじんじんする。
もっと近くで、
聞きたい、触れたい、嗅ぎたいと
感じてしまった。
野性的な感情がAの心を蝕む。
純喜は先生。
しかも、生徒大好き。
熱い人間。
好きでもいい。
恋愛感情を持ってもいい。
でも、
純喜はきっと同じ気持ちは
返してくれない。
数学のように
この感情の結末、
答えは決まっている。
Aは携帯を取り出して、LINEを開いた。
一番上にあるトーク履歴を開く。
A月曜日は補習あるよな?
川西拓実あるで!笑
Aそやんな笑ありがとう
大丈夫。
ちゃんと現実に戻れる。
Aは携帯を鞄にしまった。
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ののん(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます！色々あれやこれや悩んで試行錯誤しながら書いておりますので、そう言っていただけると、本当に励みになります！りんさんのコメント読んで嬉しくてニヤけちゃいました笑 (2021年4月29日 1時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - こんにちは。瑠姫くんの12時〜シリーズからののんさんのお話のファンになったのですが、このお話ほんっっっとに好きです､､､。本物の小説を読んでるみたいにドキドキしてしまいます。いつも素敵な物語をありがとうございます(T^T) (2021年4月28日 1時) (レス) id: a55fc0b198 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - はっぱさん» コメントありがとうございます(^^)全部読んでくださったんですか？ありがとうございます(T_T)期待に添えるお話を書けるかどうか不安ですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです! (2021年3月31日 23時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
はっぱ - ののんさんのお話全て読ませていただきました！今回も推しの純喜くんが出るのでさらに楽しみです！ (2021年3月31日 13時) (レス) id: ede0d803b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2021年3月28日 23時
